2019年7月11日木曜日

介護福祉コース  授業レポート☆⑥『障害の理解Ⅰ』




 今回の授業レポートは前回に続き2年生の科目で『障害の理解Ⅰ』です。
 『障害の理解Ⅰ』は障がいのある方の心理や身体機能に関する基礎的知識を学び、障がいのある方の生活を理解する科目です。
 今回はゲスト講師に、今治難聴者協会 代表の渡部優子さんにお越しいただき、サポーターとしてお越しの渡辺さんと共に『聞こえの授業』をしていただきました。渡部さんと聴導犬のシェリーちゃんに『聞こえの授業』をしていただくのも今年で5年目。めいたん☆かいごふくしの学生たちを見守ってくださっている大切な方ですので、親しみを込めて、優子さんと表記させていただきます。



 優子さんは2歳の時に失聴し、その後ご両親から教えられて言葉を習得され、以降、長い間口話でコミュニケーションをとりながら、今は聴導犬のシェリーと一緒に生活されています。
 口話とは、聴覚障がいのある方が、相手の口の動きや表情から言葉を読み取り理解し、自らも声を出して意思を伝えることをいいます。聴覚障がいのある方とコミュニケーションをとる方法というと、手話が思い浮かぶ方も多いと思いますが、実際に手話を使っておられる方は聴覚障がい者の約2割で、8割の方が手話を使わないで生活されているそうです。

 優子さんのお話によると、手話は子供の頃から学んでいる人にとっては有効ですが、中途失聴者や難聴者にとっては、手話より口話でのコミュニケーション、また、要約筆記で情報を伝えてもらうことの方が多いんだそうです。手話だとお互いに勉強していないと会話を楽しむことはできませんが、口話ならすぐにでもコミュニケーションを取ることができそうですよね。

 そして今回も、可愛いゲスト、トイプードルのシェリーも一緒に来ていただきました。可愛いシェリーですが、実はとっても賢い犬なんです。
 盲導犬が視覚障がい者の目であるように、聴導犬は、聴覚障がい者の耳。シェリーは優子さんに「音」を知らせる補助犬です。携帯電話の着信や玄関のチャイム、目覚まし時計やキッチンタイマーの音を優子さんの体にタッチして知らせてくれるそうです。他にも、後ろから来た自転車のベルの音を聞いて道路の端に誘導したり、火災報知器などが鳴る非常時には、床に伏せて知らせることもできるんだそうです。




 まずは、優子さん自身のお話を聞かせていただきました。
 子供の頃の辛かった経験や現在の生活、美容師の免許を取ったときのお話やその仕事について、また、育児の際に困った経験などを様々なことをお話してくださいました。
 最初は原稿が写し出されるモニターばかりを見ていた学生たちですが、サポーターの渡辺さんから「時々、文字を読まないで耳だけで聞いてみてくださいね」と声をかけられ、優子さんの言葉に耳を傾けました。




 続いて、伝言ゲーム形式での口話体験や補聴器をつける体験です。
 口話体験では、口を大きくはっきり開けて、相手に伝えます。伝えられた相手は、、唇の動きだけで言葉を読み取とうとしますが…なかなかうまくいきません。思わず声が出てしまったり、ジェスチャーの方にばかり力が入ってしまったりと笑いに包まれるひと幕もありましたが、口話で「伝えること」「読み取ること」の大変さを実感しました。




 一方、補聴器の装着体験では、見たことはあっても実際に耳につけることはみんな初めてで、恐る恐るといった風でしたが、思った以上に声や周りの音が大きく聞こえてびっくりしたり、想像以上に不快な音が聞こえることもわかり、貴重な体験になりました。




 最後は、聴導犬シェリーのお仕事の様子を見させていただいたり、口話と筆談で優子さんとの会話を楽しませていただいたりしました。また、渡辺さんからは要約筆記の必要性についてもお話していただきました。要約筆記とは、聴覚障害のある方への情報伝達手段のひとつで、話されている内容を要約して文字として伝えることです。渡辺さんが話すことを問題に、テスト形式で要約筆記にチャレンジもしました。



 口話や要約筆記、今回初めて耳にした学生が多かったようですが、優子さんや渡辺さんのお話、そして優子さんとの出会いは、間もなく介護福祉士として社会に出ていく2年生にとって、とても実りある時間になったのではないかと思います。
 こういった講義は、教科書や資料だけでは学ぶことのできない、障がいのある方やその家族の実際の暮らしや思いを学ぶ貴重な機会でもあります。今後もこような経験を積み重ねていきながら、障がい者や高齢者の気持ちを想像し、理解し、共感できる介護福祉士を目指していきましょうね!


優子さん、渡辺さん、それからシェリーちゃん、
今年も「聞こえの授業」をありがとうございました。



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