2025年4月30日水曜日

授業紹介 日本を学ぶⅠ 延命寺と藤山健康文化公園へ(4月21日)

 4月21日(月)の「日本を学ぶⅠ」は、2コマ連続授業とし、30分余りの座学をした後、団体行動の練習を兼ねて本学(矢田地区)から四国霊場54番札所の近見山延命寺(阿方地区)まで徒歩で移動しました。座学では、四国霊場の歴史を簡単に事前学習しましたが、この日の受講生46名の国別内訳を紹介しますと、多い順にミャンマー23・中国12・インドネシア5・日本4・スリランカ2でした。系統的な歴史の学習が困難な中、的をしぼって日本の史跡・文化・慣習をとりあげる必要があります。本授業は、来年度開設予定の地域未来創生コースの必修科目にもなっており、興味のある方は参考にしていただけたらと思います。

 本学から延命寺までは、徒歩で15分もあれば到着します。当日は午後から汗ばむ陽気となりました。列は50㍍を超えた長蛇となり、詰めてコンパクトになるようその都度伝えましたが、日本語が通じても行動には移せない学生もいました。まずは、こうした状況を把握し、どのようにすれば改善できるのか、昨年度の経験に従って指導していけたらと思います。日本人学生は、幼い頃から集団行動を訓練してきたため、そうした光景が不思議に思えたようで、そのことから日本人のアイデンティティーを知ることができたようです。

 延命寺では、江戸時代の遍路ブームを陰で支えた〝真念の道標(みちしるべ)〟と〝武田徳右衛門の丁石(ちょうせき)〟を解説しました。お遍路さんが分かれ道で迷わないよう、左右を石柱に刻ませたのが真念道標、次の札所までの距離を刻んだのが徳右衛門丁石で、1つの境内にともに現存するのは珍しいようです(徳右衛門は今治市朝倉地区出身の富農)。本堂と大師堂にもお参りをしましたが、神社の参拝作法との違いを理解できたなら幸いです。その後、延命寺から藤山健康文化公園(大西町宮脇)まではバスで移動しました。

延命寺の大師堂

徳右衛門丁石(左手前)と山門

 藤山健康文化公園を目指したのは、ツツジやフジといった春の花の咲き始めに学生たちを立ち会わせたかったからです。もちろん、同園の展望所となっている妙見山古墳(国指定史跡)も大切で、実際に登って多くの学生が眺望に感激していましたが、その詳しい解説は次回の座学で振り返りたいと思います。希少な史跡が、風光明媚な景観の中にあるということをまずは知って欲しいです。また、5月から始まる今治地方の春祭り〝獅子舞芸能〟についても少し解説。同園には、その等身大の四継(よつ)ぎ獅子の銅像があり、学生たちには機会をつくって異文化や他地域のお祭りを観光して欲しいものです。京都南禅寺の水道橋を模した赤煉瓦調の通路橋も、学生たちには好評でした。早速、ミャンマー人たちはSNS(facebook)に記事を投稿して、旅行気分のような喜びを自国の友人らに発信していました。それこそが、今治を知り、日本を学ぶということにつながるのだと思います。


頂上の妙見山古墳を目指す留学生

赤煉瓦調の通路橋

継ぎ獅子のモニュメントとインドネシア人留学生


園名の由来となった藤棚
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