2025年5月9日金曜日

授業紹介 「地域活性化論」 小島の芸予要塞跡を散策(5月1日)

 5月1日の「地域活性化論」(大成経凡)は、39名の学生(うち1名聴講)が来島海峡に浮かぶ周囲3㎞の小さな島〝小島〟(おしま)を散策しました。ここ3年間は、後期の「地域交流演習」で小島散策を実施していましたが、新緑の時季に前倒しして、入国して間もない留学生に旅行気分を味わってもらうことにしました。参加者の国別内訳は、ミャンマー26・日本9・中国4で、このうちミャンマー人5名ほどは、昨年秋に聴講で参加しています。行く度に新たな発見や美しい景観に癒される小島は、今治市民にとっても小旅行の気分にひたれる癒しの観光スポットなのです。

 アクセスについては、波止浜港から来島・小島・馬島行きの定期航路の渡船を使用しますが、大勢の人数や授業時間内での実施を考えた場合、その船をチャーターした方がプレミアム感を味わうことができます(波止浜〜小島は片道10分)。大成先生は4月29日にも「アシさとクラブ」のウォーキングイベント〝みちくさんぽ〟で40名余りの老若男女に小島ガイドをしていて、この時は3時間ほど島に滞在したようです。今回は、その時のような詳しいガイドは控え、簡単な歴史解説を交えながら、どれだけ満喫できるかに注力しました。


頂上の観測所跡

 小島には、陸軍が日露戦争に備えて明治30年代に築いた要塞の遺跡が、良好な状態で残されています。当時の要塞の構造(建築技術)や時代背景(近代史)を知る貴重な歴史遺産であることは言うまでもありません。また、トトロ(椿のトンネルの遊歩道)やラピュタ(中部砲台)といったジブリ映画に出てきそうな場所があって、どこか違う時空に迷い込んだ錯覚を感じることができます。インスタ映えスポット満載なのです。このため、最近は若い二人組の女性観光客をよく見かけるようになりました。一方で、島民が現在4名となって耕作放棄地が増えたことで、イノシシの被害が深刻化しています。


トトロの森のような光景(ツバキのトンネル)


28㎝榴弾砲レプリカ前で

 遺跡が保存状態良好であるのは、大正時代に兵器の進歩等で要塞の廃止が決まり、昭和2(1927)年に波止浜町が国から払い下げを受けて公園整備したためです。この背景には、大正13(1924)年に国鉄波止浜駅が開業し、観光振興を図ろうとした当時の町長・原眞十郎翁(ハラプレックス創業者)の先見性がありました。まさに〝百年の大計〟で、昭和30(1955)年に波止浜町が今治市に編入合併された後も、今治市はここを観光名所として大切にしました。昭和52〜53(1977〜78)年にツバキの遊歩道を整備したのもその一つ。しまなみ海道開通後(1999年〜)も、南部発電所の屋根修理や港待合所の新設、28㎝榴弾砲レプリカの設置(松山市より譲渡)など、漸次テコ入れを図りました。想定外だったのは、島外から泳いで渡ってきたイノシシが繁殖し、遊歩道沿いの景観が荒廃したことです。これは、来春新設される地域未来創生コースで解決策を模索したいと思います。

 小島の頂上は標高100mで、要塞当時は観測所がありました。それだけに、360度パノラマの絶景を楽しむことができます。頂上滞在は10分余りでしたが、その眺めが〝今治の魅力〟として認識できたなら幸いです。

頂上で見つけたハートマーク💓


復路の波止浜湾


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