11月15日(水)、2年生は、愛媛県介護福祉士会で開催された『VR認知症体験会』に参加させて頂きました。
VRとはバーチャルリアリティの略で、人間の感覚器官に働きかけ、現実ではないが実質的に現実のように感じられる環境を人工的に作り出す技術の総称です。ヘッドマウントディスプレイとヘッドフォンを装着すると、音と共に360度見渡せる映像が流れ、この映像と音響の効果で、ユーザーの身体を3次元空間に投影し、空間への投入感を生じさせることができます。先日、この機能を持つゲーム機が発売されて話題になったので、ご存知の方も多いですよね。
ゲーム業界だけでなく、様々な業界で大注目の最新技術を実際に使用し“認知症体験”ができるのが、VR認知症プロジェクトを手掛ける株式会社シルバーウッドさんの『VR認知症体験会』。福祉の“今”と“未来”を終結させたイベントとしても開催されている注目の体験会が愛媛県でも開催されることを知り、是非!と参加を希望し、2年生全員で行ってきました。
もちろん授業では「認知症」について学んでおり、また、実習を通して実際に認知症の方と接する経験を得ている学生達ですが、「認知症」を「体験」するとはいったいどういうこと???と、まったく想像のできない状態で会場に到着。机には既にヘッドマウントディスプレイとヘッドフォンがセットされており、なんだかワクワクするような雰囲気もあったのですが………。
そんな、どこかウキウキした気持ちは、1本目の動画で悲鳴に変わりました。
自分が柵のないビルの屋上に立っていて、「大丈夫、右足からいきますよ」なんて笑顔で話しかけられたり背中を押されそうになったら、誰だって悲鳴が出ますよね。次の瞬間、映像は車から降りる様子に切り替わります。この映像は、認知症の高齢者が、介護施設の送迎車から降りるのを極端に怖がり「屋上から落とされそうになった」と話したことを基に作られたそうです。
風邪であれば、誰でもひいた経験があるから、他の人が風邪をひいた時にはその辛さを理解したり、気づかいや配慮ができる。けれど認知症は経験したことがないから、その辛さや不便さを理解することができない。認知症でない人がVR空間内で、認知症の中核症状を疑似体験することで、理解を深め、偏見を溶かしたい、それが株式会社シルバーウッドさんの『VR認知症プロジェクト』なんだそうです。
今回は合計3本の動画で認知症の疑似体験をさせて頂きました。これまで学校で認知症について学んできた学生達ですが、その特徴や症状を知識としては知っていても、実際、実習中にはどう接すればいいかわからないと思っていたこと、認知症の方の気持ちにはまったく寄り添えてなかったこと、などを体感、痛感したようでした。
想像していたよりもはるかにリアルな体験に、それぞれ様々な学びを得る貴重な機会となりました。「相手の気持ちに寄り添う」というものが、この体験を通じて、より「寄り添える」ものになってほしいなあ、と思います。