2024年10月21日月曜日

織田ヶ浜の自然観察会に参加(10月15日)

 10月15日(火)夕方、四国環境パートナーシップオフィス主催のセミナー「身近な自然を観る×守る×活かす」のプログラム「織田ヶ浜視察」に地域連携センター長の大成経凡先生と調理ビジネスコース1年生の猿谷めぐみさんが参加しました。

 今治市富田地区の織田ヶ浜には、希少な海浜植物のウンランの自生地があり、地元住民らの保護活動もあって、愛媛県の条例にもとづく保護区にもなっています。この日は、今治市環境パートナーシップの小澤潤氏による観察会があると聞き、そのライブ解説を楽しみました。参加者のほとんどは、これより先にバリクリーンで開催された事例報告会・意見交換会に参加していて、観察会はオプションのプログラムでした。小澤氏によれば、ウンランは6~9月頃に花を咲かせるようですが、今年は猛暑の影響で咲き具合がよくなかったとか。かろうじて2か所で咲いているのを発見。とても愛らしく感じました。他にもハマゴウの花や希少な昆虫のヤマトマダラバッタを観察することができました。

 一方、海岸に打ち上げられたプラスチックゴミがとても気になりました。自然観察会のはずが、実際はゴミ拾いに費やした時間の方が長くなり、今治東中等教育学校の生徒さんも数名励んでいました(意外にも、蚊の襲撃に参加者困惑)。織田ヶ浜は、砂浜に立ち尽くすだけでも、燧灘から寄せる穏やかな波の音や遠望できる多島美と四国山地の景観にとても癒されます。宇和島市三間出身の猿谷さんも、散歩でここを時々訪れるようで、宇和島にはこのような長い砂浜海岸はないようです。今回、海浜植物の魅力を知ったことで、今後の訪問の楽しみが増えたとのことでした。

 地域の魅力を知ることはとても大切で、そのことが愛郷心や地方定住につながるのかも知れません。地域の魅力を磨き、発信することが大切で、ウンラン保護区のように守り育てることも大切ですね。


自然観察会の様子


ゴミ拾いに励む猿谷さん


ウンラン

ハマゴウ

ヤマトマダラバッタ

2024年10月18日金曜日

授業紹介 日本を学ぶⅡ  野間地区の石塔めぐり(10月11日)

 10月11日(金曜16:10~17:40)の「日本学ぶⅡ」(大成経凡先生)は、短大からバスで10分ほどの距離にある野間地区の中世石塔群を訪ねました。田園地帯のひっそりした場所に、鎌倉時代末期に造立された石塔群がコンパクトにまとまって点在しているのです。視察したのは覚庵五輪塔・長円寺跡宝篋印塔・馬場五輪塔の3か所で、それら4基の石塔はいずれも国指定重要文化財〝文化財の王様〟です。石材は、花崗岩(かこうがん)と呼ばれる硬い石から出来ており、高さは学生たちの身長をはるかに凌ぎます。

 こうした石塔は鎌倉仏教の普及とともに全国各地で造立されるようになりますが、鎌倉時代後期から南北朝期にかけての時期が最も大型で意匠性にも優れています。保存状態が良好だと文化財の指定を受けます。これより時代が下ると、小型化して意匠性が劣る傾向にあり、その分、造塔数は増えていくのです。どういう歴史背景があって、野間地区にこれらが造られたのか謎に満ちていますが、長円寺跡宝篋印塔は1325年に夫に先立たれた妻が弥勒菩薩(みろくぼさつ)信仰にもとづいて造立したことが塔に刻んだ銘文から分かります。馬場五輪塔は、銘文から1326年に亡き妻(紀氏女/きしむすめ)のために夫が造立したようで、解体修理の際に骨をDNA鑑定したところ25歳前後の女性と分かりました。馬場五輪塔の意匠・大きさとよく似た五輪塔が覚庵五輪塔で、こちらは2基が寄り添うように並び立ち、前述の銘文などを参考にすると夫婦墓だと考えられます。


覚庵五輪塔

長円寺跡宝篋印塔

馬場五輪塔

 全国各地の事例を見ますと、高僧や政治的な権力者がそれらの時期に威信を示すために造立に励むのが一般的です。なぜか野間地区には家族単位の造立のあったことが読み取れ、さては夫婦仲のよい土地柄だったのかと700年前に思いを馳せずにはいられません。国東半島や鎌倉・箱根などでは安山岩や凝灰岩といった軟らかい石材を用いており、風化や倒壊によって欠損やひび割れが散見できます。それが野間地区の場合は、700年前の雄壮な意匠そのままに現在も凛とした姿で存在していることに大きな価値を感じます。


田園の中を移動中

 参加した学生40名の国別内訳は、ネパール18・ミャンマー16・中国3・日本2・ベトナム1でした。ネパール人男子からの質問は、「地震の多い国・日本なのに、倒壊しなかったのか?」と。実は地震を想定してパーツごとに凸凹の溝が設けられています。ミャンマー人女子からの質問は「遺体をどのように葬ったのか」と。火葬して骨壺に入れて、墓下に供えました。以上のようなやり取りの中、キンモクセイ香る田園風景の中を散策し、夕暮れ時の日本の秋を満喫しました。


2024年10月17日木曜日

授業紹介 地域交流演習  市内臨海公園リレー(10月10日)

 2024年度後期の「地域交流演習」(大成経凡先生)は、秋入学で増えた留学生の履修の関係で、2つの班に分けて授業を実施することとなりました。国別の内訳は、A班がミャンマー・中国・日本・ベトナム人で、B班がネパール人となります。10月10日(木曜)はB班がバスに乗って学外授業に出かけることになりましたが、秋入学の学生に配慮して、今治市内の海に臨む公園をコース設定。ネパールには海がないため、風光明媚な海浜を観光することとしました。参加した学生はネパール人34名と日本人2名でした。

まずは、来島海峡大橋と大三島橋が遠望でき、芸予諸島の多島美が楽しめる大角海浜公園(波方町波方)です。今春入学のネパール人留学生の一部は、5月に「地域活性化論」の授業でここを訪問しています。その時は干潮でしたが、この日は満潮…。砂浜の面積が少なく、半島先端の岩礁も多くが海面下に隠れていました。それでも学生たちは十分楽しめたようで、撮影に興じていました。同所は日本人にも居心地がいいようで、コロナ禍以降、人気のキャンプ場となっています。


大角海浜公園(大角鼻)

大角海浜公園(波止)

つづいて、糸山公園(砂場町)へ移動する途中に波止浜港の観光桟橋で休憩。湾内の造船所群や係留中の大型船、建造中の鉄鋼船の様子を視察しました。糸山公園では、来島海峡展望館前から来島海峡大橋と海峡を行き交う船を鑑賞。小高い場所から俯瞰するため、大角海浜公園とは違った視線で多島美などの景観を楽しめたことでしょう。

波止浜湾

来島海峡展望館前

最後は、夕陽の時間帯をねらって鴨池海岸公園(大西町九王)へ。箱庭のような海浜と芝生広場があり、学生たちは砂浜に降りて夕陽を鑑賞したり、広場でサッカーに興じたりと、限られた15分をそれぞれが満喫している様子でした。たまたま同行した大洲市長浜町出身の男子学生も、「ここは初めてです。こんないい所が今治にあったんや!」と、ここをとても気に入った様子でした。満潮のため、砂浜の大部分は隠れていましたが、夕陽の空に飛行機雲が映え、とても幻想的な景観を生み出していました。


鴨池海岸

鴨池海岸の夕陽

「船に乗りたい!」という留学生のために、次回(再来週)のB班の授業では小島(おしま)行きを計画中です。そして次週は、A班が年中行事「お供馬の走り込み」(菊間町)の練習を視察予定です。




2024年10月16日水曜日

「知事とみんなの愛顔でトーク(大学生等対象)」に参加しました。

 愛媛県庁で開催された、愛媛県の施策や地域課題について、知事が若い世代から意見を聞く「知事とみんなの愛顔でトーク(大学生等対象)」に本学幼児教育学科の学生が参加しました。

トークでは、地域活性化や、奨学金制度、LCCの就航状況など、若者らしい意見が飛び交いました。

知事は、一人ひとりの学生の意見に対し、現状を真摯にお答えくださり、質問や要望に、愛媛県としてどのような対応ができるのかなど、解決策を一緒に考えてくださいました。

また、関心のある分野における、愛媛県の取り組みなどもお話いただき、知識を深める機会にもなりました。


学生も、知事との意見交換を通じて、愛媛県の取り組みなどを改めて知り、地域への関心が一層高まったようです。さらに、同世代の学生の意見も知ることができ、貴重な経験となりました。





2024年10月11日金曜日

地域社会論の学外授業(10月8日) 〝さいさい〟と〝カラーショー〟へ

 今年の秋入学の留学生は60名を予定し、9月下旬から順次入国・入寮しているところです。10月8日(火曜)の「地域社会論」(大成経凡先生)は、秋入学の留学生20余名が参加し、総勢35名での学外授業となりました(ミャンマー20・中国11・日本2・ベトナム2)。初回のオリエンテーションでは、愛媛県繊維染色工業組合(山本敏明理事長)が2017年から実施している「IMABARI Color Show」の取り組みを紹介し、高品質の今治タオルを下支えしている染色メーカーに注目したところです。今治の染色メーカーは、染色だけに〝1,000色のカラーを染め上げる〟ことを自負し、過去のカラーショーでは約1,000の座席数を誇る今治市公会堂で展示会を開催しました。そして2回目の授業で早速、現在開催中の「IMABARI Color Show 2024」(~11/4)を見るべく、イオンモール今治新都市(にぎわい広場1-1)へ参りました。

 当初は、しまなみアースランドを視察後に、「IMABARI Color Show 2024」へ参る予定でしたが、あいにくの雨につき、行き先の変更に迫られました。そこで、本学と包括地域連携協定を結ぶJAおちいまばりの産直市「さいさいきて屋」を選びました。本授業は8:50開始のため、9:00開店の同店の様子を観察することができます。店頭に並ぶ野菜・果物の種類・量も豊富で、初めて来店した留学生は物珍しそうに眺めつつ、品定めして好きなものを買っていました。たまたま、本授業の履修生でないネパール人留学生にも遭遇。ふだんの寮生活で必要な食材を買っているようでした(先輩が後輩の買い物に引率)。大成先生は、市内の鳥生(とりう)地区で栽培が盛んな〝鳥生レンコン〟に注目している様子でした。ローカル色の強い点が、同店の魅力の一つかも知れません。


さいさいきて屋

果物を購入する留学生

野菜に見入る留学生

 さいさいきて屋の後は、イオンモール今治新都市へ移動し、10:00開店と同時に「IMABARI Color Show 2024」を視察。1コマ授業のため10:20までに帰校する必要があり、駆け足となりましたが、JAおちいまばりのカフェ&ショップ「SAI&Co.」(サイコー)も少し見学することができました。初めての訪問地となった場所に、留学生20余名は何を感じたことでしょう。春入学の留学生たちも、経験を重ねながら、知見を深めたことでしょう。次回の授業は座学を実施し、この日の内容を振り返りたいと思います。

イマバリ カラーショー2024


2024年10月7日月曜日

愛媛県立今治南高等学校で「加工技術と伝統食」について講義をおこないました。

 9月17日火曜日 愛媛県立今治南高等学校 園芸クリエイト科1年生の皆さんに、探求の時間「鍛」の授業の中で「加工技術と伝統食」という題目でお話させていただきました。

 初めに、食糧を得て、食するようになった人間の歴史や文化について大西から、次に竹田から本学の「猪彩結縁」やSDGsの取組みを話させていただきました。そして、朝倉地区の梨農家さんから依頼をいただいている、猿被害にあった梨で商品開発した「梨のアップサイドダウンケーキ」と「梨のコンポート」を試食していただきました。「梨じゃないみたい」とか「おいしい」と感想をいただきました。



 皆さんとても明るく朗らかで、素直な反応がよく、こちらも話しやすかったです。前週、同授業を担当した本学地域連携室長 大成の「地域づくりとプレゼンテーション~風土がつくるFood~」の講義とあわせて、今治の地域の良さや、特産、伝統食など、今後の探求の参考になればうれしいです。短い時間でしたがありがとうございました。

 調理師は、食材のおいしさを引き出したり、また調理加工することで皆さんによろこんでいただける仕事です。農作物を作っている皆さんと、調理する私たち、これからも繋がっていけたらと思います。




2024年10月4日金曜日

姫子隝神社の秋祭りに参加

 9月28日、今治市関前地区の岡村島「姫子隝(ひめこじま)神社」で開催された秋祭りに、本学から8名の学生・教職員が参加しました(今治港7:20発の旅客船)。担ぎ手に大成経凡先生と男子学生3名(劉超群・武奇・渡壁大地)、動画撮影にめいたんプロモーションクルーの藤岡幸恵職員と女子学生3名(マルシャ・孫燕利・森美友)という陣容でした。令和6(2024)年3月末時点の関前地区の人口は311人(住民基本台帳)で、3つの有人島の中で最多が岡村島となり、他に小大下島と大下島とがあります。高齢化率は約72%ですが、地域おこし協力隊などの若い移住者は、島の生活をとても気に入っている様子でした。

今治市の島しょ部では、秋祭りを氏神様の例大祭とするところが多く見られます。旧町村で最も人口の少ない関前地区では、少子高齢化にともなう過疎化で、年中行事の維持が困難となりつつあります。特に大人神輿の運行には、若い年代のかき手が10数人は必要となります。すでに市内陸地部では、氏神様の例大祭で神輿を運行できない地域も見られ、政教分離の政策の中、かつて地域住民の心の拠り所であった氏神様で窮地に立つところも少なくありません。岡村島では、岡村小学校に通う児童3名と関前中学校に通う生徒1名が、獅子舞・巫女などお祭りの担い手として、貴重な戦力となっていました。


宮出し前の獅子舞を撮影(拝殿前)


御旅所で神輿・獅子舞の奉納


 今回のお祭り参加は、今年度後期から本学の介護福祉コース非常勤講師に就く島崎義弘氏(岡村島出身)の依頼で引き受けることになりました。本当は、地域福祉を学ぶ観点から同コースの学生に参加して欲しかったのですが、他の行事と重なり、国際観光ビジネスコースの学生中心に参加メンバーを編成しました。留学生にとっては、日本の地域社会を身近に感じとるよい機会になったかと思います。また本学以外にも、愛媛大学社会共創学部・笠松ゼミの学生や今治市・吹揚神社の神輿連「今壱会」の助っ人参戦があり、今壱会には岡山理科大学獣医学部の学生1名も含まれていました。一方、大成先生は、かつて24歳の頃に関前中学の社会科教員をしていた関係で、島民(特に教え子のご両親)との再会を楽しんでいました。

 本来のお祭りの華は、氏神様の御霊を載せ、集落を渡御するお神輿であります。これを盛り上げるために、今治地方では獅子舞などの伝統芸能があります。陸地部では継ぎ獅子がその獅子舞芸能の演目の一つとして有名ですが、島しょ部は大三島野々江地区の「乱獅子」に象徴されるように、立ち獅子が勢いよく演舞するのが一般的です。岡村島民の氏神様である姫子隝神社では、神輿と獅子がセットになって集落の各御旅所を渡御していきます。9時頃に宮出しがあり、「宮の鼻」から「白潟」まで10か所ほどの御旅所を経由したでしょうか。狭い路地を通る際は神輿のかき棒の一部を取り外すなど、島の集落の地形に合わせた運行が見られました。なお、白潟の集落は、目の前に大崎下島の御手洗地区(呉市)を間近に望むことができ、広島県との県境を強く感じました。また、とびしま海道経由で四国本土へ向かう広島・福山ナンバーのマイカーをこの日はよく見かけました。


路地の神輿渡御

各御旅所では、神輿の到着を待ちわびた組内の住民から、飲食のおもてなしを受けます。日本酒・ビール・清涼飲料・お茶・蒲鉾・スナック菓子などなど。暑かったため、冷たい飲み物がありがたかったです。地域色を強く感じたのが、〝ゆで卵〟がよく提供されたことです(マルシャさんが12個のゆで卵を食べたらしい)。「城の谷」ではイノシシの唐揚げ&チャーシューとタコ天、「白潟」では熱々のゆで卵など、組ごとでコダワリの食材が提供されてとても楽しめました。老人福祉施設にも立ち寄り、神輿の差し上げ、獅子舞芸能を精一杯披露させていただきました。


御旅所でのお接待



御旅所で頻繁に登場したゆで卵


宮入は午後5時頃で、それを終え岡村港17:35発の旅客船で今治港へ帰ることになりましたが、神社総代と世話役の代表からは、「今年は島外からたくさんの人が応援に駆けつけてくれて、本当に盛り上がった。久しぶりに賑わうお祭りになって、住民もとても喜んでいた」と感謝の言葉を伝えられました。また、桟橋までお見送りに来てくれる住民もいて、感謝の言葉と来年の助っ人参加を切望する声がきかれました。一方で、参加した学生たちにも充実感が漂っていました。それぞれで感じるものがあったようで、この経験はきっと今後の人生の糧になるだろうと思います。なお、プロモクルーで撮影した動画も、今後うまく情報発信・活用して参りたいと思います。


宮入り(神社境内)

参加した学生(岡村港桟橋・帰便)




2024年9月30日月曜日

北郷中学校のふるさと学習で講演

 毎年秋、今治市立北郷中学校からの依頼で、地域連携センター長の大成経凡先生(同校1989年卒業)が同校1学年のふるさと学習の講師を務めています。

 今年は9月25日午後に開催され、1年生92名・教員8名の計100名を対象に、演題「北郷ぶらぶら歩き~いまばり博士検定in北郷中校区~」で、休憩を挟んで80分ほどお話させていただきました。北郷中学は、波方小学校と波止浜小学校の校区からなり、大成先生が中学生の頃は、愛媛県今治市及び波方町共立北郷中学校組合立北郷中学校の校名で、愛媛県で3番目に長い校名とのことでした(1番は高知県と愛媛県の県境にあった篠山小・中学校)。





 講演は、今治市ご当地検定の「いまばり博士」にならって、クイズ形式3択で8問を出題。波方や波止浜の地名の由来ともなった波止浜塩田開発の説明に多くの時間を割きました。波方町は、昭和35(1960)年3月1日の町制施行までは同じ「波方」の文字で〝はがた〟村と読ませ、これは塩田開発の干拓前に存在した入江「筥潟湾」(はこがたわん)の発音が詰まったものとされています。町制施行の際、伯方島の伯方町と区別するために、漢字はそのままで読み方を変えてしまったのです。

一方の波止浜は、江戸時代の1683年に誕生した港町と塩浜を併せた地域をいい、遠浅の干潟を高石垣の堤防で取り囲み、その内側の低地を入浜塩田としました。汐留めに築いた堤防を「波止」(はと)、つくられた塩浜を「浜」とすることで、両者を併せて波止浜(はしはま)という地名になったと考えられます。

 波止浜の塩田跡には、地堀川や中堀川などの小川がありますが、これらは各塩浜に燃料を運んだり、塩を積み出したりする小舟が通うための運河の名残で、「入川」(いりかわ)と呼ばれます。また、塩田開発により、内陸の高部(たかべ)・杣田(そまだ)・樋口(ひのくち)地区などでは水田が増えました。干潟だった時の名残として、今治市役所波方支所付近には、そこでかつてメバルを釣っていた「メバル岩」や潮の流れが早かった「潮早(神社)」などの史跡や地名が見られます。ふだん、当たり前のように見過ごしている風景や、何気なく口にする地名に興味を持っていただけたなら幸いです。他にも、卒業生である洋画家・智内兄助画伯(76歳)の活躍や波止浜が生んだ偉大な実業家・八木亀三郎の事績なども紹介させていただきました。


塩田があった頃の波止浜湾(絵葉書より)

波止浜塩田の作業風景(絵葉書より)

 10月30日午前中には、この日の学習成果をもとに、生徒たちは自転車で校区内の名所や旧跡をめぐります。大成先生は波止浜の龍神社に待機してガイドを行う予定です。ちなみに、クイズの結果ですが、全問正解者なし。6問正解の生徒7~8名でジャンケン大会をし、チャンピオンには智内画伯のサイン色紙が、ほか2名には本学のクリアファイル・カラーペンがプレゼントされました。


2024年9月20日金曜日

今治南高校園芸クリエイト科へ出張講義

 9月10日(火曜)午後、今治南高校園芸クリエイト科1年生29名を対象にした探究授業で、本学地域連携センター長の大成経凡先生が「地域づくりとプレゼンテーション ~風土がつくるFood~」のテーマで出張講義を行いました。

 南高では総合的な探究の時間「鍛(きたえる)」において、1年生園芸クリエイト科は農業をテーマに地域課題に関する学習を行っております。4~5月は4回にわたって、1年生普通科・園芸クリエイト科全員に対して、大成先生が〝今治を知る〟をテーマに、今治地域の風土・歴史文化・産業・偉人などを広く浅くお伝えしたところです。今回は、その中から農産物などの地域資源に焦点を当て、これから各自が深めたい学習テーマのヒントにつながればと考えました。




 プレゼンテーションについては、探究の成果を発表する場面において、〝自分の言葉で伝えること〟〝下を向いて話すと聴衆が聞き取りづらいから注意すること〟〝聞き手の年齢層や関心度に配慮して、話術に応用力をもたせること〟などをアドバイスさせていただきました。大成先生自身は、パワーポイントなどパソコンソフトのテクニックに頼らないプレゼンテーションを心がけていて、究極の場合、パソコンが起動しなかったらどうするのかなど、不測の事態に備えて準備に幅をもたせているとのことでした。

 地域資源を生かした事例紹介では、本学調理ビジネスコースがJAおちいまばりと連携して取り組んだ〝サトイモの親芋を使ったレシピ開発〟や大成先生自身が取り組んだ〝今治ラーメン誕生の秘話〟、NPO法人能島の里のクロイチジクや森のともだち農園のブルーベリーなど、演題の副題にもある風土を生かした農産物の栽培や付加価値をもたせるためのアイデアなどについて学びました。


今治の風土や歴史が詰まった「今治ラーメン」


翌週9月17日(火曜)は、調理ビジネスコースの竹田貴好先生・大西望先生による出張講義を予定いたしております。




2024年9月19日木曜日

秋の学位記授与式

 9月13日(金曜)午前中、学長室にて学位記授与式があり、国際観光ビジネスコースの学生2名が卒業することになりました。

 本学では留学生を対象に秋入学があり、また、長期履修制度(在学年数最長4年)を設けることで、それぞれのペースに合わせて修業時期を終え、晴れて秋に卒業する学生もいます。例えば、今回の中国人留学生の王沙沙さんは、日本語検定2級を取得し、城崎温泉(兵庫県豊岡市)の宿泊施設で就職することが決まっているそうです。増え続けるインバウンドに対して、貴重な戦力として期待されます。本学で学んだ日本の生活文化や観光業の知識を生かして欲しいですね。

 さて、授与式に参加した両名は、泉学長から学位記を授与された後、学長・学科長そしてお世話になったコースの先生方から労いの言葉をかけられ、今後の社会生活での活躍を誓っていました。健康に留意して、これからも励まれてください。ご卒業おめでとうございます!










2024年9月13日金曜日

今治版ネウボラ地域子育て支援基盤事業 中核リーダー保育者研修

8月27日 今治版ネウボラ地域子育て支援基盤事業 中核リーダー保育者研修を開催しました。


前回、6月18日に第1回目として若手リーダー保育者研修を実施しましたが、今治市保育幼稚園課のご協力のもと、第2回目を下記の日程で実施しました。


令和6年度 第2回目の研修(午前の部)令和6年8月27日(火)10:00~12:00

講師:今治明徳短期大学 講師 松田文春先生

「配慮を必要とする子どもの支援」をテーマに、講演とワークショップを行いました。


前半は、座学を中心として、「発達とは何か」、「発生的認識論」、「運動と感覚の関係」、「感覚機能(7感)について」などについてお話をしていただきました。

<ポイント> 

・運動は、感覚相互のネットワークによってコントロールされる。この感覚間のネットワークは運動することによってのみ発達していく。

・個々の子どもの発達に沿った支援を心がけることが、教育・保育の基本である。



 後半では、前半の講義をもとに実践をしました。

【ステージ1】予行演習

  ①一本足立ち(A:目を開けて、B:目を閉じて)

  ②抗重力姿勢(A:伏人臥位伸展、B:背臥位屈曲)

  ③ベグさし、 ④ビー玉つかみ

【ステージ2】

  ⑤ボタンはめ、⑥バランスクッション、⑦バランスボール

【ステージ3】

  ⑧トランポリン、⑨竹馬、⑩輪投げ、⑪キャッチボール(2人で)、⑫縄跳び(1人で)

【ステージ4】

  ⑬線上歩行、⑭しっぽとり




【受講生の感想】

 ・人間の発達には順序があり、それぞれ個人差があること、大人のものさしだけで子どもたちを見てはいけないと改めて感じた。

 ・一つ一つの運動にたくさんの発達のポイントとなる動きがあることを知った。子どもの発達段階を理解し、育ちに繋がる活動内容を工夫してきたいと思った。

・感覚統合の大切さを知ることができた。自分の感覚特性を理解することで、他人を理解できることにもつながることを知り、勉強になった。すべてうまくいくことは、難しいが、やらなければ次のステップへは進めないという言葉が心に残った。

・感覚機能には7感あり、その中でも大切なのは、触覚・前庭覚、固有受容覚ということを知り、配慮が必要な子どもにかかわらず、運動面ではトランポリン、なわとびを保育に取り入れ、楽しく鍛えればと感じました。


 第2回目の研修(午後の部)はIT教材作成をテーマに講義を実施しました。


令和6年8月27日(火)13:00~16:00 

講師:今治明徳短期大学 講師 角田 泰啓先生


第1部は、Wordを活用して、図形の挿入、ワードアート、写真活用をしながら、園だよりを完成させていきました。

 

 第2部は、Excelを活用して、基本操作・入力から計算、便利な関数、時短できるショートカットキーなどの紹介を行いました。





【受講生の感想】

 ・普段使用しているWordやExcelの便利な活用方法について知ることができてとてもためになった。

 ・園だよりを作ることなかったが、今回作ってみることで、どうすれば保護者が見やすいかわかりやすいかを考えて作るということを経験することができて良かったです。

 ・使ったことのない機能があったので、これから活用していきたいと思います。

 ・基本的なワードやエクセルの使い方を教えていただき分かりやすかった。クラス便りを作成中だったので、活かしていきたい。




2024年9月10日火曜日

愛顔でつなぐ”学校・家庭・地域”の集い


 愛媛県教育委員会主催「愛顔でつなぐ”学校・家庭・地域”の集い」に参加する「北宇和高校三間分校地域情報ビジネス部」の応援に行ってきました。

この集いは、社会総がかりで、愛媛の子どもたちを健やかに育てようというテーマで、社会総がかりで愛媛の子どもたちを育むための方向性を探るイベントです。

このイベントの地域学校協働活動について意見交換を行う分科会、「#みまプロジェクト」の三間分校の事例発表に、本学調理ビジネスコース1年生の猿谷さんが、卒業生として、三間分校の生徒と一緒に登壇しました。

分科会では、「ライスバーガー開発」など、在学中に取り組んできた活動事例を紹介し、これらの経験が今にどうつながり、将来にどう生かしていくのかを話してくれました。

そして、高校時代の地域活動を通して、さらにこの学びを深めたくて、地域と密着した学びができる本学調理ビジネスコースに入学したとのことで、めいたんで学んだことを地元に持ち帰り、将来は地元で古民家カフェをひらくのが夢だそうです。

後輩と一緒に夢を語る猿谷さんの笑顔は、とてもキラキラしていました。

「猿谷さんを小さい頃から知ってるの」と、小学校の担任の先生も応援に駆けつけてくれて、成長を喜んでくれました。猿谷さんが地元が大好きな理由がよくわかりました。

本学調理ビジネスコース長も負けずに「#めいたん好き」Tシャツで猿谷さんを応援していましたよ!

三間分校のみなさん、猿谷さん、素敵な発表をありがとうございました。






2024年8月30日金曜日

東予地域における農業者の「環」プロジェクト交流会に参加

農林水産省中国四国農政局愛媛県拠点(松山市)では、令和4年度から同6年度までの間に『東予地域における農業者の「環」プロジェクト』と題し、地域で活躍している農業者との意見交換を定期的に行って参りました。その東予地区での第1回交流会が、平成5年2月に本学で開催されたご縁で、今回の交流会に本学からは地域連携センター長の大成経凡先生と調理ビジネスコース2年の大仁田佑紀さんがオブザーバーとして参加することになりました。

意見交換の様子

8月27日(火曜)午後、西条市総合福祉センター研修室で開催され、今治市からは和牛の肥育農家の新開俊之氏、花き栽培農家の曽我部昌紀氏(そがべ花園)の出席がありました。両氏とは第1回交流会で知遇を得、授業で職場訪問(写真添付)をさせていただくことがかない、貴重な機会を設けていただいた愛媛県拠点様には感謝いたしております。今回の交流会には、今治市以外でニンニクなど野菜栽培を中心とする株式会社四国クオリティの眞鍋一慶氏、米麦以外に七草粥の葉わさびの生産農家・アグフィールド株式会社の伊藤大起氏、米麦を中心に野菜栽培を手がける徳永農園の徳永大宣氏、アスパラガス・ブロッコリーなどの野菜を中心とするFRUITS WALKの豊田果歩氏の出席がありました。何人かは台風10号の接近に備えて急きょ欠席となり、改めて自然に左右される業種であることを実感したしだいです。

そんな中、初対面となる四国中央市の眞鍋氏、西条市の伊藤氏・徳永氏・豊田氏からの体験談を聞けたことは、とても新鮮で刺激的でした。本学では、西条市でニンニク・枝豆・スイートコーンの栽培を手がける脱サラ農家のピークファーム・坂下夫妻との親交があり、ニンニクの種植え・収獲作業に毎年学生たちがアルバイトで参加しているところです(写真添付)。この日参加した大仁田さんもその一人で、住環境の違う地域の農家の取り組みから新たな知見が得られたことでしょう。特に大仁田さんは、将来、飲食店の起業を考えていることもあって、今後の自身の活動に向けて財産になったことと思います。


新開さんの牛舎を見学(2023年10月)



ニンニク収穫の農業アルバイト(2023年5月)

この日の議事としましては、まず愛媛県拠点の職員から、農産物の環境負荷低減の「見える化」について説明がありました。これは、農業活動からも地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出がある点を踏まえ、その対策に努めている農家を消費者目線からも評価しようという農水省の取り組みとなります。オタマジャクシなどの生態系への配慮も、評価の対象になっていました。地域によって積極的なところとそうでないところがあるようですが、本県は導入に低調とのことでした。

つづいて、八幡浜市の真穴みかん関連商品のECサイトなどを手がける株式会社ナナサンの仙波秀喜代表から、「ウェブサイト・SNSの運用と成果の生まれる活用」について基調講演がありました。農家の多くが、自社の商品売上げ向上のため、ウェブサイトやSNSの必要性を認識しながらも、導入に踏み切れていない現状があるようです。ウェブサイトにはコーポレートサイト・ECサイト・ブランドサイト・サービスサイト・求人サイト・ランディングページなどの種類があり、SNSにもX(旧ツイッター)・Instagram・Facebook・YouTube・LINE・TikTokなどの種類があります。それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、それを自社や商品の特徴に合わせて駆使することが大切とのことでした。

その後の意見交換会では、出席した農家の取り組みや政府への要望など、消費者があまり感じとることができない愛媛の農業の課題や農家の企業努力を知ることができました。例えば、今夏の酷暑が農家に与える高温障害では、牛にしても花にしても影響は見られるようです。新開氏は、扇風機や発汗作用の餌などで対応しているが、スプリンクラー・ミストなどの導入も考えなくてはいけないとのことでした。曽我部氏はスプリンクラーの増設などを考えており、それが商品の値上げにも影響してくるが、卸業者者や消費者との信頼関係でこれまでも乗り切ってきたと自信をのぞかせていました。いま、農業の現場では、合理的な価格形成(商品の適正価格)で、農家が意欲的に事業経営できる未来像を追求しているところです。

新開氏にとっては、高温障害よりも飼料用の稲わら確保が課題のようで、事業拡大の中で今治市内の農家だけでは足りなくなってきていて、早速、西条市の徳永氏に相談を持ちかけていました。この日出席した農家の皆さんは、愛媛の未来の農業を牽引していく方々で、互いの課題を共有し、補完し合える関係性がとても大事だと感じました。また、そういう場を提供し、現場の意見に耳を傾けて政策に反映しようとする愛媛県拠点の取り組みも大切だと感じました。

 大仁田さんからは、昨年度、JAおちいまばりとのコラボで実現した里芋の親芋を使ったレシピ考案の活動報告がありました。そして、親芋のように廃棄処分する農作物を提供いただければ、新たな商品に再生したいとアピールしていました。これに対し豊田氏からは、アスパラガスの廃棄部分を乾燥して粉末にし、お茶にする取り組みを行ったという事例報告がありました。

意見を発表する大仁田さん(右手前)

大成先生からは、自身が所属するNPO法人「能島の里」で、耕作放棄地をクロイチジクの農園に替え、収穫後にジャムにして販売している事例報告がありました(写真添付)。また、農業の法人化が議題にあがったことで、本学のネパール人留学生たちの就職先として、農業法人の可能性はいかがなものか、愛媛県拠点様へ要望を行ったしだいです。10月以降の後期授業では「地域交流演習」で新開氏の牛舎見学や能島の里のクロイチジク収穫体験を予定しており、10月にはピークファームでのニンニク種植えバイトが予定されております。愛媛の農業の現状を知り、課題を知る中で未来を創生できる人財育成に励んで参りたいと思います。


今治市宮窪町でクロイチジク狩り(2023年10月)


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