2024年10月21日月曜日

織田ヶ浜の自然観察会に参加(10月15日)

 10月15日(火)夕方、四国環境パートナーシップオフィス主催のセミナー「身近な自然を観る×守る×活かす」のプログラム「織田ヶ浜視察」に地域連携センター長の大成経凡先生と調理ビジネスコース1年生の猿谷めぐみさんが参加しました。

 今治市富田地区の織田ヶ浜には、希少な海浜植物のウンランの自生地があり、地元住民らの保護活動もあって、愛媛県の条例にもとづく保護区にもなっています。この日は、今治市環境パートナーシップの小澤潤氏による観察会があると聞き、そのライブ解説を楽しみました。参加者のほとんどは、これより先にバリクリーンで開催された事例報告会・意見交換会に参加していて、観察会はオプションのプログラムでした。小澤氏によれば、ウンランは6~9月頃に花を咲かせるようですが、今年は猛暑の影響で咲き具合がよくなかったとか。かろうじて2か所で咲いているのを発見。とても愛らしく感じました。他にもハマゴウの花や希少な昆虫のヤマトマダラバッタを観察することができました。

 一方、海岸に打ち上げられたプラスチックゴミがとても気になりました。自然観察会のはずが、実際はゴミ拾いに費やした時間の方が長くなり、今治東中等教育学校の生徒さんも数名励んでいました(意外にも、蚊の襲撃に参加者困惑)。織田ヶ浜は、砂浜に立ち尽くすだけでも、燧灘から寄せる穏やかな波の音や遠望できる多島美と四国山地の景観にとても癒されます。宇和島市三間出身の猿谷さんも、散歩でここを時々訪れるようで、宇和島にはこのような長い砂浜海岸はないようです。今回、海浜植物の魅力を知ったことで、今後の訪問の楽しみが増えたとのことでした。

 地域の魅力を知ることはとても大切で、そのことが愛郷心や地方定住につながるのかも知れません。地域の魅力を磨き、発信することが大切で、ウンラン保護区のように守り育てることも大切ですね。


自然観察会の様子


ゴミ拾いに励む猿谷さん


ウンラン

ハマゴウ

ヤマトマダラバッタ

2024年10月18日金曜日

授業紹介 日本を学ぶⅡ  野間地区の石塔めぐり(10月11日)

 10月11日(金曜16:10~17:40)の「日本学ぶⅡ」(大成経凡先生)は、短大からバスで10分ほどの距離にある野間地区の中世石塔群を訪ねました。田園地帯のひっそりした場所に、鎌倉時代末期に造立された石塔群がコンパクトにまとまって点在しているのです。視察したのは覚庵五輪塔・長円寺跡宝篋印塔・馬場五輪塔の3か所で、それら4基の石塔はいずれも国指定重要文化財〝文化財の王様〟です。石材は、花崗岩(かこうがん)と呼ばれる硬い石から出来ており、高さは学生たちの身長をはるかに凌ぎます。

 こうした石塔は鎌倉仏教の普及とともに全国各地で造立されるようになりますが、鎌倉時代後期から南北朝期にかけての時期が最も大型で意匠性にも優れています。保存状態が良好だと文化財の指定を受けます。これより時代が下ると、小型化して意匠性が劣る傾向にあり、その分、造塔数は増えていくのです。どういう歴史背景があって、野間地区にこれらが造られたのか謎に満ちていますが、長円寺跡宝篋印塔は1325年に夫に先立たれた妻が弥勒菩薩(みろくぼさつ)信仰にもとづいて造立したことが塔に刻んだ銘文から分かります。馬場五輪塔は、銘文から1326年に亡き妻(紀氏女/きしむすめ)のために夫が造立したようで、解体修理の際に骨をDNA鑑定したところ25歳前後の女性と分かりました。馬場五輪塔の意匠・大きさとよく似た五輪塔が覚庵五輪塔で、こちらは2基が寄り添うように並び立ち、前述の銘文などを参考にすると夫婦墓だと考えられます。


覚庵五輪塔

長円寺跡宝篋印塔

馬場五輪塔

 全国各地の事例を見ますと、高僧や政治的な権力者がそれらの時期に威信を示すために造立に励むのが一般的です。なぜか野間地区には家族単位の造立のあったことが読み取れ、さては夫婦仲のよい土地柄だったのかと700年前に思いを馳せずにはいられません。国東半島や鎌倉・箱根などでは安山岩や凝灰岩といった軟らかい石材を用いており、風化や倒壊によって欠損やひび割れが散見できます。それが野間地区の場合は、700年前の雄壮な意匠そのままに現在も凛とした姿で存在していることに大きな価値を感じます。


田園の中を移動中

 参加した学生40名の国別内訳は、ネパール18・ミャンマー16・中国3・日本2・ベトナム1でした。ネパール人男子からの質問は、「地震の多い国・日本なのに、倒壊しなかったのか?」と。実は地震を想定してパーツごとに凸凹の溝が設けられています。ミャンマー人女子からの質問は「遺体をどのように葬ったのか」と。火葬して骨壺に入れて、墓下に供えました。以上のようなやり取りの中、キンモクセイ香る田園風景の中を散策し、夕暮れ時の日本の秋を満喫しました。


2024年10月17日木曜日

授業紹介 地域交流演習  市内臨海公園リレー(10月10日)

 2024年度後期の「地域交流演習」(大成経凡先生)は、秋入学で増えた留学生の履修の関係で、2つの班に分けて授業を実施することとなりました。国別の内訳は、A班がミャンマー・中国・日本・ベトナム人で、B班がネパール人となります。10月10日(木曜)はB班がバスに乗って学外授業に出かけることになりましたが、秋入学の学生に配慮して、今治市内の海に臨む公園をコース設定。ネパールには海がないため、風光明媚な海浜を観光することとしました。参加した学生はネパール人34名と日本人2名でした。

まずは、来島海峡大橋と大三島橋が遠望でき、芸予諸島の多島美が楽しめる大角海浜公園(波方町波方)です。今春入学のネパール人留学生の一部は、5月に「地域活性化論」の授業でここを訪問しています。その時は干潮でしたが、この日は満潮…。砂浜の面積が少なく、半島先端の岩礁も多くが海面下に隠れていました。それでも学生たちは十分楽しめたようで、撮影に興じていました。同所は日本人にも居心地がいいようで、コロナ禍以降、人気のキャンプ場となっています。


大角海浜公園(大角鼻)

大角海浜公園(波止)

つづいて、糸山公園(砂場町)へ移動する途中に波止浜港の観光桟橋で休憩。湾内の造船所群や係留中の大型船、建造中の鉄鋼船の様子を視察しました。糸山公園では、来島海峡展望館前から来島海峡大橋と海峡を行き交う船を鑑賞。小高い場所から俯瞰するため、大角海浜公園とは違った視線で多島美などの景観を楽しめたことでしょう。

波止浜湾

来島海峡展望館前

最後は、夕陽の時間帯をねらって鴨池海岸公園(大西町九王)へ。箱庭のような海浜と芝生広場があり、学生たちは砂浜に降りて夕陽を鑑賞したり、広場でサッカーに興じたりと、限られた15分をそれぞれが満喫している様子でした。たまたま同行した大洲市長浜町出身の男子学生も、「ここは初めてです。こんないい所が今治にあったんや!」と、ここをとても気に入った様子でした。満潮のため、砂浜の大部分は隠れていましたが、夕陽の空に飛行機雲が映え、とても幻想的な景観を生み出していました。


鴨池海岸

鴨池海岸の夕陽

「船に乗りたい!」という留学生のために、次回(再来週)のB班の授業では小島(おしま)行きを計画中です。そして次週は、A班が年中行事「お供馬の走り込み」(菊間町)の練習を視察予定です。




2024年10月16日水曜日

「知事とみんなの愛顔でトーク(大学生等対象)」に参加しました。

 愛媛県庁で開催された、愛媛県の施策や地域課題について、知事が若い世代から意見を聞く「知事とみんなの愛顔でトーク(大学生等対象)」に本学幼児教育学科の学生が参加しました。

トークでは、地域活性化や、奨学金制度、LCCの就航状況など、若者らしい意見が飛び交いました。

知事は、一人ひとりの学生の意見に対し、現状を真摯にお答えくださり、質問や要望に、愛媛県としてどのような対応ができるのかなど、解決策を一緒に考えてくださいました。

また、関心のある分野における、愛媛県の取り組みなどもお話いただき、知識を深める機会にもなりました。


学生も、知事との意見交換を通じて、愛媛県の取り組みなどを改めて知り、地域への関心が一層高まったようです。さらに、同世代の学生の意見も知ることができ、貴重な経験となりました。





2024年10月11日金曜日

地域社会論の学外授業(10月8日) 〝さいさい〟と〝カラーショー〟へ

 今年の秋入学の留学生は60名を予定し、9月下旬から順次入国・入寮しているところです。10月8日(火曜)の「地域社会論」(大成経凡先生)は、秋入学の留学生20余名が参加し、総勢35名での学外授業となりました(ミャンマー20・中国11・日本2・ベトナム2)。初回のオリエンテーションでは、愛媛県繊維染色工業組合(山本敏明理事長)が2017年から実施している「IMABARI Color Show」の取り組みを紹介し、高品質の今治タオルを下支えしている染色メーカーに注目したところです。今治の染色メーカーは、染色だけに〝1,000色のカラーを染め上げる〟ことを自負し、過去のカラーショーでは約1,000の座席数を誇る今治市公会堂で展示会を開催しました。そして2回目の授業で早速、現在開催中の「IMABARI Color Show 2024」(~11/4)を見るべく、イオンモール今治新都市(にぎわい広場1-1)へ参りました。

 当初は、しまなみアースランドを視察後に、「IMABARI Color Show 2024」へ参る予定でしたが、あいにくの雨につき、行き先の変更に迫られました。そこで、本学と包括地域連携協定を結ぶJAおちいまばりの産直市「さいさいきて屋」を選びました。本授業は8:50開始のため、9:00開店の同店の様子を観察することができます。店頭に並ぶ野菜・果物の種類・量も豊富で、初めて来店した留学生は物珍しそうに眺めつつ、品定めして好きなものを買っていました。たまたま、本授業の履修生でないネパール人留学生にも遭遇。ふだんの寮生活で必要な食材を買っているようでした(先輩が後輩の買い物に引率)。大成先生は、市内の鳥生(とりう)地区で栽培が盛んな〝鳥生レンコン〟に注目している様子でした。ローカル色の強い点が、同店の魅力の一つかも知れません。


さいさいきて屋

果物を購入する留学生

野菜に見入る留学生

 さいさいきて屋の後は、イオンモール今治新都市へ移動し、10:00開店と同時に「IMABARI Color Show 2024」を視察。1コマ授業のため10:20までに帰校する必要があり、駆け足となりましたが、JAおちいまばりのカフェ&ショップ「SAI&Co.」(サイコー)も少し見学することができました。初めての訪問地となった場所に、留学生20余名は何を感じたことでしょう。春入学の留学生たちも、経験を重ねながら、知見を深めたことでしょう。次回の授業は座学を実施し、この日の内容を振り返りたいと思います。

イマバリ カラーショー2024


2024年10月7日月曜日

愛媛県立今治南高等学校で「加工技術と伝統食」について講義をおこないました。

 9月17日火曜日 愛媛県立今治南高等学校 園芸クリエイト科1年生の皆さんに、探求の時間「鍛」の授業の中で「加工技術と伝統食」という題目でお話させていただきました。

 初めに、食糧を得て、食するようになった人間の歴史や文化について大西から、次に竹田から本学の「猪彩結縁」やSDGsの取組みを話させていただきました。そして、朝倉地区の梨農家さんから依頼をいただいている、猿被害にあった梨で商品開発した「梨のアップサイドダウンケーキ」と「梨のコンポート」を試食していただきました。「梨じゃないみたい」とか「おいしい」と感想をいただきました。



 皆さんとても明るく朗らかで、素直な反応がよく、こちらも話しやすかったです。前週、同授業を担当した本学地域連携室長 大成の「地域づくりとプレゼンテーション~風土がつくるFood~」の講義とあわせて、今治の地域の良さや、特産、伝統食など、今後の探求の参考になればうれしいです。短い時間でしたがありがとうございました。

 調理師は、食材のおいしさを引き出したり、また調理加工することで皆さんによろこんでいただける仕事です。農作物を作っている皆さんと、調理する私たち、これからも繋がっていけたらと思います。




2024年10月4日金曜日

姫子隝神社の秋祭りに参加

 9月28日、今治市関前地区の岡村島「姫子隝(ひめこじま)神社」で開催された秋祭りに、本学から8名の学生・教職員が参加しました(今治港7:20発の旅客船)。担ぎ手に大成経凡先生と男子学生3名(劉超群・武奇・渡壁大地)、動画撮影にめいたんプロモーションクルーの藤岡幸恵職員と女子学生3名(マルシャ・孫燕利・森美友)という陣容でした。令和6(2024)年3月末時点の関前地区の人口は311人(住民基本台帳)で、3つの有人島の中で最多が岡村島となり、他に小大下島と大下島とがあります。高齢化率は約72%ですが、地域おこし協力隊などの若い移住者は、島の生活をとても気に入っている様子でした。

今治市の島しょ部では、秋祭りを氏神様の例大祭とするところが多く見られます。旧町村で最も人口の少ない関前地区では、少子高齢化にともなう過疎化で、年中行事の維持が困難となりつつあります。特に大人神輿の運行には、若い年代のかき手が10数人は必要となります。すでに市内陸地部では、氏神様の例大祭で神輿を運行できない地域も見られ、政教分離の政策の中、かつて地域住民の心の拠り所であった氏神様で窮地に立つところも少なくありません。岡村島では、岡村小学校に通う児童3名と関前中学校に通う生徒1名が、獅子舞・巫女などお祭りの担い手として、貴重な戦力となっていました。


宮出し前の獅子舞を撮影(拝殿前)


御旅所で神輿・獅子舞の奉納


 今回のお祭り参加は、今年度後期から本学の介護福祉コース非常勤講師に就く島崎義弘氏(岡村島出身)の依頼で引き受けることになりました。本当は、地域福祉を学ぶ観点から同コースの学生に参加して欲しかったのですが、他の行事と重なり、国際観光ビジネスコースの学生中心に参加メンバーを編成しました。留学生にとっては、日本の地域社会を身近に感じとるよい機会になったかと思います。また本学以外にも、愛媛大学社会共創学部・笠松ゼミの学生や今治市・吹揚神社の神輿連「今壱会」の助っ人参戦があり、今壱会には岡山理科大学獣医学部の学生1名も含まれていました。一方、大成先生は、かつて24歳の頃に関前中学の社会科教員をしていた関係で、島民(特に教え子のご両親)との再会を楽しんでいました。

 本来のお祭りの華は、氏神様の御霊を載せ、集落を渡御するお神輿であります。これを盛り上げるために、今治地方では獅子舞などの伝統芸能があります。陸地部では継ぎ獅子がその獅子舞芸能の演目の一つとして有名ですが、島しょ部は大三島野々江地区の「乱獅子」に象徴されるように、立ち獅子が勢いよく演舞するのが一般的です。岡村島民の氏神様である姫子隝神社では、神輿と獅子がセットになって集落の各御旅所を渡御していきます。9時頃に宮出しがあり、「宮の鼻」から「白潟」まで10か所ほどの御旅所を経由したでしょうか。狭い路地を通る際は神輿のかき棒の一部を取り外すなど、島の集落の地形に合わせた運行が見られました。なお、白潟の集落は、目の前に大崎下島の御手洗地区(呉市)を間近に望むことができ、広島県との県境を強く感じました。また、とびしま海道経由で四国本土へ向かう広島・福山ナンバーのマイカーをこの日はよく見かけました。


路地の神輿渡御

各御旅所では、神輿の到着を待ちわびた組内の住民から、飲食のおもてなしを受けます。日本酒・ビール・清涼飲料・お茶・蒲鉾・スナック菓子などなど。暑かったため、冷たい飲み物がありがたかったです。地域色を強く感じたのが、〝ゆで卵〟がよく提供されたことです(マルシャさんが12個のゆで卵を食べたらしい)。「城の谷」ではイノシシの唐揚げ&チャーシューとタコ天、「白潟」では熱々のゆで卵など、組ごとでコダワリの食材が提供されてとても楽しめました。老人福祉施設にも立ち寄り、神輿の差し上げ、獅子舞芸能を精一杯披露させていただきました。


御旅所でのお接待



御旅所で頻繁に登場したゆで卵


宮入は午後5時頃で、それを終え岡村港17:35発の旅客船で今治港へ帰ることになりましたが、神社総代と世話役の代表からは、「今年は島外からたくさんの人が応援に駆けつけてくれて、本当に盛り上がった。久しぶりに賑わうお祭りになって、住民もとても喜んでいた」と感謝の言葉を伝えられました。また、桟橋までお見送りに来てくれる住民もいて、感謝の言葉と来年の助っ人参加を切望する声がきかれました。一方で、参加した学生たちにも充実感が漂っていました。それぞれで感じるものがあったようで、この経験はきっと今後の人生の糧になるだろうと思います。なお、プロモクルーで撮影した動画も、今後うまく情報発信・活用して参りたいと思います。


宮入り(神社境内)

参加した学生(岡村港桟橋・帰便)




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