2023年4月28日金曜日

【授業紹介】日本を学ぶⅠ 学外授業(4月21日)

  4月21日の昼下がり、春の陽気に誘われて、「日本を学ぶⅠ」(共通教育科目)は遠足気分で本学周辺を散策しました。4月に入学したばかりの1年生や入国して間もない中国の留学生らが打ち解ける機会となれば幸い、そんな願いを込めての学外授業となりました(履修生15名のうち留学生7名)。訪ねた先は、延命寺と阿方貝塚史跡公園です(ともに今治市阿方地区に所在)。

 今治市出身の学生であっても、意外と市内に6か寺ある四国霊場八十八か所すべてを訪ねたことはありません。そこで、歩いて15分ほどの距離にある本学最寄りの札所・54番「近見山延命寺」を訪ねることにしました。近いがゆえに、これまでの本授業でも訪ねたことがなく、当日は幸いなことに境内で池口住職にも遭遇し、しばし学生たちは懇談のひとときを得ました。

延命寺参詣


 境内では、今治市朝倉出身の武田徳右衛門が寄進した丁石(ちょうせき)と真念が寄進した道標(みちしるべ)を解説。彼らは江戸後期~明治期の遍路ブームを陰で支えた功労者で、歩き遍路の助けとなりました。真念の道標が分岐点で左右どちらへ進めばいいかを示すのに対して、徳右衛門の丁石は次の札所への距離を示して旅程の計画に役立ちました。〝是(これ)より別宮山まで一里〟とありますので、55番札所「別宮山南光坊」までは約4㎞の行程となります。一行は途中まで旧遍路道を歩き、しまなみ海道(西瀬戸自動車道)の高架手前で右折し、阿方貝塚史跡公園へ到着しました。


武田徳右衛門の遍路丁石

真念の遍路道標

 そこは、昭和戦前から当地方を代表する弥生時代の遺跡で知られ、愛媛県指定の史跡にもなっています。昭和16(1941)年の調査で出土した土器は〝阿方式土器〟とも称され、北四国の弥生土器の指標にもなっています。平成8(1996)年にも、周辺の高架工事などにともなって発掘調査が行われ、分銅型土製品(ふんどうがたどせいひん)や導水施設の遺構などを発見。そして、この公園は整備されました。園内には、阿方式土器や分銅型土製品を模した巨大モニュメントや、発掘の様子を紹介した陶板が設置されています。また、芝生広場にもなっていて、近所に住む乃万(のま)小学校の児童たちが大勢集い、楽しんでいました。

阿方貝塚史跡公園


 歩き遍路も少し楽しんだ形となりましたが、日中の学生どうしで会話を楽しむ場面も見られ、同じコースどうしのコミュニケーションも深まるなど、まさに遠足のような気分にひたることができました。次週は、学園バスに乗って学外授業に出かける予定です。



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