11月8日(土曜)、高知工科大学で開催された2025年度サステナブル・ブランド国際会議学生招待プログラム「第6回SB Student Ambassadorブロック大会(四国大会)」に、四国四県から24校約130名の高校生の参加がありました。本大会には、今治市SDGsまちづくりプロジェクトに参加している高校生も参加し、同プロジェクト監修者の一人・本学の大成経凡先生は、来春新設される地域未来創生コースの準備も兼ねて参加しました。
愛媛県内からはFC今治高校里山校・今治工業高校・今治東中等教育学校以外に、愛媛大学付属高校・宇和島南中等教育学校などの参加もありました。大成先生は高知県内の進学ガイダンスに出張することも多く、高知県内の企業や高校生の動向を知るよい機会にもなったようです。本大会は毎年四国四県が持ち回りで開催しており、大成先生と同行した今治市職員からは、将来的に同大会を今治市へ誘致したいとする構想も耳にしました。
本大会では、SDGsを念頭にした企業・団体の先進的な取り組みについて、実際にそれにかかわる企業人から基調講演やテーマ別講演を通じて学ぶことができます。高校によっては、地域探究の授業でそうした機会にふれるところもありますが、進学活動・就職活動・部活動の狭間にあって、あまり多くの時間をさけないのが実情です。しかし、学校では学べない学びが地域にはたくさんあって、それら地域の魅力や課題を知ることで、きっと将来の自分のプラスになることでしょう。高校生たちに願いたいのは、まずは高校で学ぶ教科も大切にしながら、地域への関心を持って欲しいということです。
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| 全体会場 |
基調講演では、海藻の研究を通じて地域貢献やビジネスを展開する合同会社シーベジタブルの新北成実氏が登壇。高知県にあって、今後さらに活躍が期待される若手女性の一人です。ご自身の学生時代の経験を振り返りながら、「みなさんにも、いつかカチッとハマる瞬間があり、それが私にとっては大学生の時の海藻との出会いでした」とし、今は目標や進路が定まらずとも、色々なことに関心をもって取り組んで欲しいとエールを送っていました。
つづいて、その後、生徒たちが3つの分科会場へ移動するにあたって、テーマ別講演・ディスカッションを前にした3社講師の紹介がありました。分科会のテーマ①【持続可能な農業】では、「ICボルドーで実現する持続可能な農業への講演」と題し、井上石灰工業株式会社の井上孝志氏が登壇。ディスカッションテーマは、「農薬は、未来の食をどう豊かにするか?」でした。テーマ②【サステナブルツーリズム】では、「高知県幡多地域の〝観光×SDGs〟の取組」と題し、一般社団法人幡多広域観光協議会の東泰照氏が登壇。ディスカッションテーマは、「私たちの学校や地域でできる、SDGsの目標を達成するためのアイデアを考えよう!」でした。テーマ③【住まいと環境】では、「窓から考ええるサステナビリティ」と題し、YKK AP株式会社の三浦俊介氏が登壇。ディスカッションテーマは、「これからの家づくりがどうなっていけば環境を守ることができるのかを考えよう!そのために住まい手である私たち一人ひとりが意識するべきことを考えよう!」でした。
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| 分科会のディスカッションの様子 |
生徒たちは学校単位ではなく、シャッフルした状態で4~6名で1つの班に分かれました。いきなり見知らぬメンバーで意見を出し合う難しさに直面するのですが、ここではリードする人もいれば、人見知りして控えめな人もいたりしました。今治から参加した高校生の半数は1年生でしたので、県外の2・3年生にどういった反応を示すのかが気になりました。FC今治高校里山校は、ワークショップに慣れていることもあって、リード役に徹している生徒もいました。多くが高知の高校生のため、高知弁(〇〇きぃ)がよく飛び交っていましたが、愛媛県勢は圧倒されなかったかどうか…(笑)。リードする人が強引すぎて、場がしらけて心配になる班もありました。チームとしてどのように意見を集約し、解決のための案に仕上げていくのか。個々の意見を尊重することも大切で、意見を引き出す雰囲気づくりも大切です。しだいに打ち解けていく姿は、さすが若者だなぁと感じつつ、ディスカッションにかけた90分ほどで知恵熱を浪費したことと思います。最後は班ごとで発表し、優秀な発表1つは改めて全体会場で披露されました。
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| 分科会でのプレゼン発表の様子 |
どの班の作品が優秀かは、評価する人によって違ったのかも知れません。大切なのは話し合いのプロセスで、いきなり初対面で育った環境も違う同年代と交流するのは緊張がともないます。自分がその中でどういう力を発揮できるのかは、自分の力を知っていなければいけません。まだ15〜18歳ですから、社会経験や知識量の不足は否めませんが、そこは若者目線を大切に自分事として地域課題を認識し、解決のためのアイデアにつなげて欲しいと願います。ふだんの学校での勉強も大切です。得意な能力は大いに伸ばす一方で、苦手なことを克服する中で得る経験も大切です。そういう意味では、本フォーラムは、参加した高校生が現在の自らの立ち位置を知り、四国の仲間たちと地域課題を共有できた経験が貴く感じられました。
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| 優秀作品を発表するFC今治高校里山校の生徒 |
今治から参加した高校生は、今回の経験を持ち帰り、改めて第4回の講座(11/16)で今治市内の企業の取り組みを学び、今治の地域課題解決に向けたアイデアを高校ごとで練り上げていく予定です。今の高校生たちがどのような人生観をもって地域と向き合っているのか、あるいは、どのように導きサポートすればいいのかは、大成先生も大いに興味関心を持ち、やりがいを感じているようです。本学で、来年春に新設される「地域未来創生コース」の1期生には、様々な経験を積ませ、多様な考え方にも触れ、地域社会へ出て活躍できる人財に育てたいと考えております。いま、進路に悩んでいる高校3年生がいましたら、個別相談を歓迎いたします(入試課にお問い合わせ)。どうかよろしくお願いいたします。