11月17日(月)午前中、松山市三津浜地区の古い町並みを舞台に、三津浜小学校6年生28名が「まち探検」をしました。企画したのは、三津浜の地域活性化に取り組む三津クリエーターズのみなさんで、今回で3年目となります。毎回、本学の大成経凡先生が主要なチェックポイントでガイドをし、愛郷心を育む〝ふるさとキャリア教育〟のお手伝いをさせていただいております。
今回は、「ギャラリー吉川」の土蔵を8:25にスタート。3班に分かれて①「三津の渡し」「旧石崎船渠 石垣ドライドック」「伊予鉄港山駅」、②「木村邸」(明治期、国登録有形文化財)、③「森家住宅」(昭和4年、国登録有形文化財)を巡回し、大成先生は①を担当しました。三津の渡しは、言わずと知れた松山市の海の市道(乗船料は無料)で、港町三津のシンボルの一つとなっています。対岸は三津浜小の校区外でもあるため、転校生の中には初めて乗船する児童がこの日は2名いました。ちょうど渡船が検査ドックを控えていたため、最初の班だけが片道で乗船し、それ以降は代船のモーターボートになりました。いつもとは違う船に乗れて、それはそれでいい経験となりました。船も車同様に検査があり、検査と修繕を兼ねて造船所のお世話になることを感じとってもらいました。
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| 三津の渡し |
旧石崎船渠の石垣ドライドックは、いまはオオノ開發が管理しており、以前は角田造船が修繕ドックとして使用していました。現在は使われておらず、ドックには海水がたまった状態です。同所は、大正時代に石崎金久が築造し、県内に現存する石垣ドライドックとしては最古となります。貴重な近代化遺産(土木遺産・海事遺産)として過去に愛媛県の近代化遺産調査報告書にも大きく掲載されました。児童には、鉄鋼船がドライドックに入渠し、船底掃除をする理由について考えてもらいました(海草や貝類を除去することが燃費に影響)。
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| 旧石崎船渠ドライドック |
伊予鉄港山駅は、当初は貨車専用の駅として明治31(1898)年に開業しました。その背景には、周辺にあった14町歩余りの新浜村塩田が関係していて、そこで採れた食塩を同駅から輸送していました。しかし、同塩田が明治末期で廃止されると駅は役目を終えます。やがて塩田跡地に住宅が立ち並ぶと、昭和6(1931)年から旅客用の駅として再び開業しています。また、古い伊予鉄の駅のホーム支柱は廃レールが使われており、つい見過ごしてしまいそうな珍景にも注目してもらいました。
昼食は、③の森家住宅の鯛めし専門店「鯛や」で鯛めしをいただきました。店主からのささやかなプレゼントで〝三津のこどもたちに三津の味を知ってもらいたい〟という思いから実現しました。お座敷で正座して、緊張した面持ちで級友とともに食べる鯛めしは、きっと一生の想い出となることでしょう。贅を尽くした建物の造りも必見ですが、目が肥えれば、地域探究の授業でまた訪ねて欲しい建物です。
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| 森家で鯛めし昼食 |
昼食後は、大正時代につくられた旧鈴木邸と旧石崎汽船本社ビルを外観から見学。旧鈴木邸は、所有者の岩神さんから説明を受け、かつて米問屋だったことから現在はボタモチを製造・販売するカフェやゲストハウスに再生しているとのことでした。旧石崎汽船の社屋は大正13(1924)年12月に竣工した鉄筋コンクリート造の建物で、設計した木子七郎は、他にも萬翠荘(大正11年11月)や愛媛県庁舎(昭和4年1月)などを手がけています。今回は管理する河野さんのご厚意で、地下・1階・2階・屋上に潜入し、汽船会社のオフィスの様子を感じとることができました。テンションが一番上がったのは屋上で、〝ここで一句〟と吟行を始める児童もいて、さすが松山だなぁと大成先生も感じ入った様子でした。
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| 旧石崎汽船本社 |
最後は、旧石崎汽船本社ビルの向かいに建つ同年竣工の山谷社屋2階でまとめの講話です。ここでは、大成先生が20分ほど三津の港の成り立ちや三津の魅力について熱く語りました。山谷社屋の外観は鉄筋コンクリート造のように見えますが、実際は木造2階建ての擬洋風建築であります。同社は長年にわたって船舶代理店業務を三津浜港で行い、船主でもあるのです。2階の座敷は、船の荷物の揚げ降ろしや綱取り・綱放しなどに従事する労働者(沖仲仕)の待機所だったようです。児童たちは、果たして港や船にまつわる仕事に思いを馳せることができたでしょうか。児童たちは満足げな表情で12:40に「まち探検」を終え、小学校へと帰っていきました。
本学では来春から「地域未来創生コース」を開設しますが、活動の一環で三津浜の地域活性化にもかかわりたいと考えております。大成先生によれば、出向きたい地域はたくさんあって、住民との交流を大切にその地域にあったやり方や考え方を学びたいとのことです。一緒に新コースの歴史をつくる新入生をお待ちいたしております。





