2025年12月4日木曜日

授業紹介 日本を学ぶⅡ  「IMABARI Color Show 2025」を視察(11月28日)

 11月28日(金曜)の「日本を学ぶⅡ」(大成経凡)は、今治市高地町の「しまなみアースランド」学習棟で開催中の〝IMABARI Color Show 2025〟(愛媛県繊維染色工業組合主催)を視察しました。午前の部はネパール人留学生中心の38名、午後の部はミャンマー人留学生中心の48名で、合計86名となります。国別内訳はミャンマー47・ネパール31・中国5・スリランカ2・日本1です。

カラーショー(学習棟ロビー)


 学外授業の場合、いつもであればバスを使った移動ですか、今回は集団行動の訓練を兼ねて、少し早歩きで片道20分の距離を徒歩で移動することとしました。これは、これまでの学外授業の反省にたったもので、整然とコンパクトな日本式の移動を身につけようというものでした。ちょうど大成先生は、11月17日に三津浜小学校6年生相手に町並みガイドを行った際、児童が少々の早歩きにも食らいつき、公道でも列を乱すことなく、地域住民や交通マナーへの配慮が見られたことに感心したようです。

 今回、先頭を歩く大成先生のペースについてくることができた学生は3分の1といったところでした。その都度、遅れている後続を待って列を整え、2つの信号機を全員が1回で渡るよう配慮しながら、目的地を目指しました。帰路は明らかにバテテいましたが、今後の学外授業で注意すべき点を体感することができたはずです。説明の際に私語を行う学生も、その都度注意を行いながら、日本社会になじむよう時に厳しく接しました。


カラーショー(学習棟外)

 一方、厳しいばかりではダメで、時に楽しく、新たな知見を得る学びも必要です。〝IMABARI Color Show 2025〟では、タオル産業に欠かせない染色の技術に少し思いを馳せてもらいました。園内では、紅葉した木々や地元産の花崗岩〝大島石〟を使った「地球の道」を楽しんでもらいました。この秋に来たばかりのミャンマー人留学生が、イチョウの落ち葉をとても珍しそうに眺め、拾って撮影している姿が印象的でした。同所は本学から近い距離にある自然をテーマにした公園ですが、丘陵地にあるため、自転車が交通手段の学生たちはあまり訪ねる機会はありません。留学生たちは、市民の森フラワーパーク(今治市山路)をよく訪ねています。今治市内には自然美豊かな観光名所がたくさんあり、授業を通じて知ってもらう機会を多く設け、今治ライフ(学業・就活)のモチベーション向上につなげてもらいたいと思います。


イチョウの木のそばで


地球の道


2025年12月3日水曜日

「海岸ジャックin IMABARI」へゆく(11月24日)

 11月24日(月曜祝日)、今治市内の3つの海岸(①鴨池海岸 ②湊・大新田海岸 ③織田ヶ浜)で、《一般社団法人 海と日本プロジェクトinえひめ》による海岸清掃イベント「BEMAC Presents 海岸ジャックin IMABARI」が開催されました。本学からは、ミャンマー人留学生3名と大成経凡先生が参加。市内3会場で同時開催されるイベントでしたが、留学生たちは寮から最も近い②湊・大新田海岸を選びました。そこは、来島海峡に臨む絶景スポットで、昨年12月に大成先生が授業「地域社会論」で海岸清掃に来た場所でした。


参加した留学生

参加した留学生3名は、9月下旬に来日したばかりの国際観光ビジネスコース1年生のアウンチョーソーさん・ズィンリンテッさん・ヌインヤテバンさんです。呼びかけたところ、自ら志願しての参加となりました。同所の参加者は全員で32名いましたが、市内小学生や今治北高生、愛媛大学生など若い世代もいて、楽しみながらゴミを集める姿が印象的でした。どういうゴミを拾ったかをチェックできるよう、参加者には「海ごみビンゴシート」が手渡され、9種類全部拾うと後で3枚の抽選券と引き換えできるシステムでした。同所は4年くらい前から、「ビーチクリーンしまなみ」を中心に海岸清掃を定期的に実施していますが、それでも漂着ゴミが尽きないようです。パッと見きれいに見えていた海岸にも、小さなマイクロプラスチックや牡蠣パイプ(まめ管・ロング・ワッシャー)を多く見つけることができました。定番のペットボトルやビン・缶、発泡スチロールは、テトラポット(消波ブロック)の中に隠れていました。舶用ロープやタイヤも見つけましたが、砂に堆積して人力では抜き取れませんでした。最終的に、同所では1時間ほどの作業で61.7㎏のゴミを拾い集めることができました(織田が浜は、40名で23.9㎏)。写真撮影&留学生補助が目的の大成先生も、ゴミ拾いに全集中していました。


ゴミ拾いの後は、「ビーチクリーンしまなみ」の宇佐美浩子さんから講評があり、ビーチクリーンの意義について学びました。〝捨てないことも大切だが、漂着ゴミをコツコツ拾い続けることで、この瀬戸内海のゴミを減らし、世界に誇れる取り組みや美しい景観につなげたい〟とのことでした。さらに、漂着ゴミの漁網を使ったワークショップ「海ごみハンドクラフト」もあり、漂着ゴミがアート作品(ドリームキャッチャー)に生まれ変わる楽しさも味わうことができました。
テトラポットでの作業


大成先生によると、〝この経験を授業に生かし、再び学生を引率して今治市内のなぎさに出かけたい〟とのことでした。多文化共生社会を推進する今治市にあって、外国人にもビーチクリーンの活動に参加いただき、一緒になって海ごみ問題の解決に取り組めるようになるといいですね。


集合写真

2025年12月2日火曜日

授業紹介「日本を学ぶⅡ」かわら館と秋探しの公園めぐり(11月21日)

  11月21日(金曜)の「日本を学ぶⅡ」(大成経凡先生)は、午前のクラス(35名)と午後のクラス(49名)それぞれで学外授業を実施しました。総勢84名の国別内訳は、ミャンマー48名・ネパール28名・中国5名・スリランカ2名・日本1名です。両クラスともに、今治市菊間町浜にある「かわら館」を訪ね、愛媛県の伝統的特産品であり、今治市の地場産業の一つである製瓦業の歴史や価値について学ぶこととしました。ロビーには、瓦製のお供馬のレリーフが展示されていますが、かつて菊間地域で馬が多く飼われていた背景には、瓦の産地が影響していました。海岸部に軒を連ねる窯元へ、原料の粘土や焼成用の薪や松葉を馬が運搬していたからです。かつて製品の瓦は船で運搬され、瀬戸内海沿岸で需要が多くありました。身近なルーツとしては、藩政時代の松山藩の庇護で御用瓦などを手がけ、つづいて明治時代には皇居御造営瓦に選ばれたことで名声を得ました。〝京都の着倒れ、大阪の食い倒れ〟という言葉がありますが、愛媛には〝伊予の建て倒れ〟という言葉があり、これは家を建てた際は上等の菊間瓦を屋根に葺いて贅(ぜい)を尽くすことを意味しました。


かわら館

館内には、焼成の窯が〝ダルマ窯〟と呼ばれる土窯だった当時のジオラマ模型が展示されていて、ひと昔前の瓦で栄えた菊間の町並みに思いを馳せることができます。昭和初期は菊間地域だけで100近い窯元があり、窯でいぶす際にでる黒い煙と窯元の屋外に積み上げ松葉のかたまり(松葉くろ)が瓦のまちを象徴する光景の一つでありました。現在、菊間瓦は1,000度近い温度のガス窯で焼かれていて、菊間町窯業協同組合に加入する製瓦業者は12社まで減少しています。その背景には、産地間競争以外に、粘土瓦を葺(ふ)かない家が増えてきたことが大きく影響しているようです。屋根瓦以外の工芸品に活路を見出す業者もいて、伝統を継承しながら地場産業としての地位をどう保つのか、難しい舵取りが続いています。


かわら舘のジオラマ展示


学生たちには、広島で被爆した菊間瓦の展示を見るよう事前に伝えてありました。1,000度近い温度で焼かれた瓦の表面に火ぶくれが見られ、これはそれ以上の熱が瓦に注がれたことを意味しており、改めて原爆の恐怖を感じさせる希少な資料であるのです。次回の授業で振り返りを行う際、学生に訊いてみようと思います。


被爆瓦

かわら館を見学した後は、紅葉の時季ということもあり、午前のクラスは大西地域の藤山健康文化公園へ。ネパール人が多いこのクラスは、サッカーや児童遊具を楽しみました。ミャンマー人が多い午後のクラスは、夕陽のスポットの鴨池海岸公園を訪ねました。この秋に入学したばかりのミャンマー人留学生は、まだ今治市内の観光名所を今治城くらいしか訪ねておらず、この日はそのうちの34名が初めて夕陽の鴨池海岸を観賞(満喫)することができました。今治の伝統工芸(地場産業)と観光名所の秋を通じて、日本の良さを学ぶ一助となれば幸いです。

藤山健康文化公園

夕陽に興じる留学生


2025年12月1日月曜日

授業紹介 「地域社会論&地域交流演習」  アシックス里山スタジアムと鈍川渓谷へ

 11月20日(木曜)「地域社会論&地域交流演習」(大成経凡先生)は、39名の留学生をともない、アシックス里山スタジアムの視察と鈍川渓谷の散策に出かけました。アシックス里山スタジアムは、本学から車で10分ほどの距離にある、今治市を拠点とするFC今治のホームスタジアムです。FC今治は、現在J2のカテゴリーに所属するプロサッカーチームで、本学では幼児教育学科と調理ビジネスコースが今年度もコーチ・スタッフ・選手らとコラボ授業を実施しました。この日参加の留学生の中には、実際にホームゲームの公式戦を観戦した学生も何名かいました。


アシックス里山スタジアム

 この日は、スタジアムで選手たちが実際に使用するローカールームに潜入し、アウェイ・ホームそれぞれの設えの違いを知ることができました。公共施設のスタジアムの場合は公平な設えですが、里山スタジアムは民営で建設したスタジアムのため、ホームチームのロッカールームは快適な空間となっていました。最上階の中継カメラや報道関係者が陣取る場所にも潜入し、ワイドな観戦イメージにひたることができました。そして、今治平野が一望できる景観や瀬戸内海・四国山地の借景にも心が躍りました。また、選手入場口からピッチに降り立ち、天然芝のピッチと観客席とがとても近い距離にあることに驚かされました。今シーズンはJ1昇格への夢がたたれましたが、地域とともに歩むFC今治を今後とも応援し続けたいと思います。


ピッチ目線を体感


 鈍川渓谷は、鈍川温泉郷に沿って上流域につづく自然豊かな場所です。新緑の時季は木地川の渓流に心が癒され、紅葉の時季は渓谷に色づく木々に心が和みます。この日は、鈍川温泉郷のモミジを被写体として、学生たちが撮影に興じました。渓流スポットの湯の花橋付近は、残念ながら色づいた木々が少なく、被写体には巡り会えませんでした。日没が近づき途方に暮れていたところ、某温泉宿のご主人からのアドバイスで、そこより少し上流域の「ふれあいの森 森林館」を目指すこととなり、赤く染まった同館駐車場の木々に学生たちからは歓声があがりました。日本における四季折々の楽しみ方を味わってもらえたなら幸いです。


鈍川温泉郷の紅葉


ふれあいの森 森林館



2025年11月27日木曜日

三津浜小学校まち探検でガイド(11月17日)

 11月17日(月)午前中、松山市三津浜地区の古い町並みを舞台に、三津浜小学校6年生28名が「まち探検」をしました。企画したのは、三津浜の地域活性化に取り組む三津クリエーターズのみなさんで、今回で3年目となります。毎回、本学の大成経凡先生が主要なチェックポイントでガイドをし、愛郷心を育む〝ふるさとキャリア教育〟のお手伝いをさせていただいております。

 今回は、「ギャラリー吉川」の土蔵を8:25にスタート。3班に分かれて①「三津の渡し」「旧石崎船渠 石垣ドライドック」「伊予鉄港山駅」、②「木村邸」(明治期、国登録有形文化財)、③「森家住宅」(昭和4年、国登録有形文化財)を巡回し、大成先生は①を担当しました。三津の渡しは、言わずと知れた松山市の海の市道(乗船料は無料)で、港町三津のシンボルの一つとなっています。対岸は三津浜小の校区外でもあるため、転校生の中には初めて乗船する児童がこの日は2名いました。ちょうど渡船が検査ドックを控えていたため、最初の班だけが片道で乗船し、それ以降は代船のモーターボートになりました。いつもとは違う船に乗れて、それはそれでいい経験となりました。船も車同様に検査があり、検査と修繕を兼ねて造船所のお世話になることを感じとってもらいました。


三津の渡し

 旧石崎船渠の石垣ドライドックは、いまはオオノ開發が管理しており、以前は角田造船が修繕ドックとして使用していました。現在は使われておらず、ドックには海水がたまった状態です。同所は、大正時代に石崎金久が築造し、県内に現存する石垣ドライドックとしては最古となります。貴重な近代化遺産(土木遺産・海事遺産)として過去に愛媛県の近代化遺産調査報告書にも大きく掲載されました。児童には、鉄鋼船がドライドックに入渠し、船底掃除をする理由について考えてもらいました(海草や貝類を除去することが燃費に影響)。

旧石崎船渠ドライドック

 伊予鉄港山駅は、当初は貨車専用の駅として明治31(1898)年に開業しました。その背景には、周辺にあった14町歩余りの新浜村塩田が関係していて、そこで採れた食塩を同駅から輸送していました。しかし、同塩田が明治末期で廃止されると駅は役目を終えます。やがて塩田跡地に住宅が立ち並ぶと、昭和6(1931)年から旅客用の駅として再び開業しています。また、古い伊予鉄の駅のホーム支柱は廃レールが使われており、つい見過ごしてしまいそうな珍景にも注目してもらいました。

 昼食は、③の森家住宅の鯛めし専門店「鯛や」で鯛めしをいただきました。店主からのささやかなプレゼントで〝三津のこどもたちに三津の味を知ってもらいたい〟という思いから実現しました。お座敷で正座して、緊張した面持ちで級友とともに食べる鯛めしは、きっと一生の想い出となることでしょう。贅を尽くした建物の造りも必見ですが、目が肥えれば、地域探究の授業でまた訪ねて欲しい建物です。

森家で鯛めし昼食

 昼食後は、大正時代につくられた旧鈴木邸と旧石崎汽船本社ビルを外観から見学。旧鈴木邸は、所有者の岩神さんから説明を受け、かつて米問屋だったことから現在はボタモチを製造・販売するカフェやゲストハウスに再生しているとのことでした。旧石崎汽船の社屋は大正13(1924)年12月に竣工した鉄筋コンクリート造の建物で、設計した木子七郎は、他にも萬翠荘(大正11年11月)や愛媛県庁舎(昭和4年1月)などを手がけています。今回は管理する河野さんのご厚意で、地下・1階・2階・屋上に潜入し、汽船会社のオフィスの様子を感じとることができました。テンションが一番上がったのは屋上で、〝ここで一句〟と吟行を始める児童もいて、さすが松山だなぁと大成先生も感じ入った様子でした。

旧石崎汽船本社


 最後は、旧石崎汽船本社ビルの向かいに建つ同年竣工の山谷社屋2階でまとめの講話です。ここでは、大成先生が20分ほど三津の港の成り立ちや三津の魅力について熱く語りました。山谷社屋の外観は鉄筋コンクリート造のように見えますが、実際は木造2階建ての擬洋風建築であります。同社は長年にわたって船舶代理店業務を三津浜港で行い、船主でもあるのです。2階の座敷は、船の荷物の揚げ降ろしや綱取り・綱放しなどに従事する労働者(沖仲仕)の待機所だったようです。児童たちは、果たして港や船にまつわる仕事に思いを馳せることができたでしょうか。児童たちは満足げな表情で12:40に「まち探検」を終え、小学校へと帰っていきました。


 本学では来春から「地域未来創生コース」を開設しますが、活動の一環で三津浜の地域活性化にもかかわりたいと考えております。大成先生によれば、出向きたい地域はたくさんあって、住民との交流を大切にその地域にあったやり方や考え方を学びたいとのことです。一緒に新コースの歴史をつくる新入生をお待ちいたしております。

 

2025年11月26日水曜日

立花地区住民運動会に参加(11月16日)

11月16日(日)午前中、今治市立立花小学校体育館で開催された立花地区住民運動会に、本学の学生がボランティアスタッフとして参加しました。参加したのはインドネシア人留学生のトリアナさん・ディカさん・アビガルさんの3名で、全員が介護福祉コースの1年生です(昨年は同コース日本人学生が参加)。

まず、7時半に現地集合して世話役の方々と顔合わせし、楽しい会話で留学生たちはすぐ打ち解けました。中には、以前に本学の介護福祉コースに非常勤講師で来られていた方もいて、インドネシア語で挨拶をされて学生たちはとても喜んでいました。


9時に開会式がありましたが、その前のパレードから学生たちは作業開始です。一方、集まった約200名の住民は4つの色に分かれて9時20分から競技をスタートしました。アンパンならぬメロンパン食い競走では、その括りつけ作業をお手伝いました。4種目あるうちの2種目では、選手としても出場し、洗剤や小麦粉などの商品をゲットし、日本の住民運動会をスタッフと選手の双方から体験することができました。最後はお楽しみ抽選会があり、当選番号は各自のゼッケン番号でしたが、学生や引率の大成先生が当たることはありませんでした。それでも、学生たちは当選して喜ぶ住民の姿に心を和ませている様子でした。


参加賞をゲット!


11時40分頃に閉会しましたが、その後も椅子や長机の後片付けをお手伝いさせていただきました。作業を終えて学生たちに感想を訊いたところ、「とても楽しかった!」と笑顔で返されました。学生たち以外に外国人の姿はありませんでしたが、市内の地区によっては今年度から地区(大西・吉海)の外国人を招いた運動会を行うところもでてきたようです。多文化共生社会を推進する今治市にあって、今後は選手・スタッフの双方で外国人が日本人と協力しあって交流や絆を深める地区運動会が増えてくることを願います。



後片付け



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