6月26日(木曜)の「地域活性化論」(大成経凡先生)は、A班の学生39名が今治市小浦の今治造船(株)本社・今治工場を訪問し、会議室で企業説明を受けた後、実際に構内の作業現場を視察しました。学生の国別内訳は日本8・中国3・ミャンマー28となります。企業説明を行った広報担当の野本友喜さんはミャンマーで仕事をした経験があり、現在は中国語を学んでいることから、留学生に親近感を抱いてくれました。参加した留学生全員が、大きな鉄鋼船をつくる現場を目の当たりにしたことはなく、造船会社の企業見学も初めての経験となりました。
今治造船グループは、日本における建造量約36.0%を占める業界最大手のリーディングカンパニーとなります。これを世界的シェアで見ると、日本は建造量の約12.9%を担っているわけですが、今治造船グループは約4.7%の実績を誇る世界的メーカーでもあるのです。しかし、これをしのぐ存在に中国や韓国があり、それらと国際競争をはかるうえでも、日本の業界は強靱化が求められています。
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ドライドックと船首部分 |
最初の企業説明では、同社の概要だけでなく、業界を取り巻くグローバルな話題提供もあり、地球温暖化に対応した船の開発にも同社が取り組んでいる点が紹介されました。そして当日夕方のテレビニュースや翌日朝刊の紙面で発表されましたが、今治造船が業界2位のJMU(ジャパンマリンユナイテッド)を子会社化することになり、設計や工場の効率化で連携を強化していくというのです。この再編によって、日本のシェアを20%にする目標をたて、政府としてもこれを支援し、日本の造船技術を米国との関税協議の切り札とするねらいも報じられました。
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構内を移動(左はブロック、右は船体) |
さて、工場見学の話題に移りますが、人数が多いことから3班に分けて構内を巡視しました。読売新聞と毎日新聞の記者さんも同行し、なかなか一般人が潜入できない大型船のものづくりの現場を、リアリティをもって感じることができました。時に説明の声が聴き取りづらいほど作業音が鳴り響き、これぞ〝現場〟でした。ちょうど出渠間近のコンテナ船がドライドックに座っていたことで、その周辺には次の建造船のブロック(パーツのかたまり)が多く並んでいました。クレーンに吊られたブロックが頭上を移動する場面では、安全面の注意を強くうながされるなど、危険と隣り合わせの職場であるという緊張感も感じることができました。最後は出渠間近のコンテナ船の船首部分で記念撮影をしていただき、学生たちにはいい想い出にもなったことでしょう。
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説明に聞き入る学生 |
最後は、会議室に戻って質問&感想タイムとなりましたが、今治市出身の男子学生からは「小学生の頃にも造船工場見学をしたことはありますが、年齢を重ねてから見ると、違った感動や気づきがありました」とあり、新居浜市出身の男子学生は「住友関係の工場見学は何度も経験ありますが、造船工場は初めてだったので、船のスケールが大きくて、ただスゴイという実感だけが印象に残っています」とのことでした。他にも、どのくらいの時間をかけて今日見た船が造られるのかなどの質問もありましたが、留学生たちにとっては、シュールな体験をしつつも、日本で就職する場合、どういう職種があるのか、改めて自分に置き換えて考えるいい機会になったかと思います。貴重な場を設けていただきました今治造船(株)様、本当にありがとうございました。
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質問する学生(会議室) |
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出渠間近の大型コンテナ船 |