地(知)の拠点整備事業(COC事業)シンポジウム
10月27日(土)13:00~14:30
本学の「しまなみの文化と生活を守り育てる人づくり・つながりづくり」が地(知)の拠点整備事業(COC事業)として平成26年度に採択され、今治市と連携して地域課題に対応した事業を教育・研究・社会貢献の分野で展開しています。
平成30年度で5年目を迎え、最終年度としてCOC活動を通しての学生の地域に対する意識変化やCOC活動成果をまとめたシンポジウムを開催しました。
開会の挨拶 学長 野口学
自治体挨拶 今治市健康福祉部長 石丸 司様
COC挑戦と成果
地(知)の拠点整備事業推進室 室長 西本 修文
本学は、従来より地域の要望に応えて、学科コースの特徴を活かした地域での教育活動、ボランティア活動に着手してきました。それらの活動や探究してきた成果を平成26年度から始まるCOC事業に地域志向の教育や社会貢献活動として集約しようと考え、『4事業10活動』と平成27年度に新設した『地域交流実践演習』として計画しました。
学生たちは今まで学んだことを実践する機会を得ることができ、地域住民との交流を通して「コミュニケーション能力」を培っていくことができ、教育改革を推進する大きなきっかけと期待しました。
平成26年度から始まった本事業の活動、『4事業10活動』と『地域交流実践演習』の取り組みをしていく中で、それぞれの活動が地域とのつながりを深め、地域への就職にも繫がっています。
取り組み内容①
地域の子育て広場活動(めいたんパーク)地域連携の成果
幼児教育学科 准教授 正岡節子
めいたんパークは、幼児教育学科が今治市子育て支援課、児童館と連携して、地域の親子が、安心して集まれる交流の場、地域の子育て情報交換の場として定着してきました。地域の親子に対して、学生主体のプログラムや外部講師である児童館職員によるふれあい遊びや乳幼児遊びの講座、季節のイベントを開催しており、年間約1,400名の地域の親子の参加者が、めいたんパークで学生と共に一緒に楽しんでいます。学生は、外部講師である児童館職員からプログラムの運営や子育て支援方法を学び、保育士・幼稚園教諭に必要な保育、子育て支援の実践的技術を高めています。
【卒業生の声】 村上 奈緒子さん
現在、今治市内で保育士として勤務しています。
めいたんパークでは、遊びの展開や保育環境、保護者とのコミュニケーションなど、実践的な学びが今につながっていることがわかりました。在学中は、学生同士で話し合ったり、お互いを高め合ったりもしていました。学生の皆さんは、今、「なぜ?」、「どうして?」と疑問に思うことがあるかもしれませんが、今はわからなくても、見出せなくてもこの先、保育士として社会に出たときに気づくことができればいいなと思っています。頑張ってください。
取り組み内容②
健康推進プログラム
ライフデザイン学科 食物栄養コース 教授 藤田 正隆
食物栄養コースでは、栄養と食習慣に関する正確な知識の教育普及活動として、<事業4>食育及び健康栄養教育事業を展開しています。
子どもを対象とした食育活動では、市内の保育所の園児や幼児教育学科が取り組んでいる「めいたんパーク」及び農業まつりに参加している子どもに対して、カルタや紙芝居などわかりやすい食育媒体を作成して、学生が中心となって「食の大切さ」を伝える活動をしています。
また、高齢者を対象とした栄養・健康教室では、学生は松岡塾でゲスト講師から個別・集団栄養指導方法を学び、大三島地区、阿方・乃万地区の高齢者の方々、また、農業まつりなどの地域のイベントに参加して、骨密度測定、食育SATシステム(食事診断)など機器を利用した栄養指導・健康指導を実践しています。
それらの活動を通して、学生はコミュニケーション力や栄養指導の実践力を高めています。
【卒業生の声】 西谷奈恵さん
今治市内で栄養士として勤務しています。
在学時に印象に残っているのは保育所での食育講座と健康塾での栄養指導体験です。保育所では、園児に「食の大切さ」を伝えるために紙芝居、クイズ、ダンスなどにして発表をしました。健康塾での発表では、前半を「塩分摂取、減塩を」をテーマに発表し、後半では全員参加のクイズや質問コーナーを行うなど、関心をもってもらえ、集中力を切らさないように工夫をしました。発表するために必要な資料や媒体の内容を自ら考えること、また、食べることの大切さを改めて理解しました。発表の準備は授業以外での作業となり大変だったが、みんなで達成感を共有することができました。様々な場面で発表したことで、人前で話すことの苦手意識が薄れ、自分自身が成長できました。
取り組み内容③
地域志向科目「地域交流実践演習Ⅰ・Ⅱ」
幼児教育学科 准教授 寺川 夫央
「地域交流実践演習Ⅰ・Ⅱ」は、地域に貢献する人材育成のために平成27年度に新設した地域志向科目で、全学的に教育改革を実施したコアとなる科目である。学生が活動したいテーマを選択し、地域の外部講師からの講話や地域活動を通して、地域課題に主体的に取り組み、グループワーク、実践活動、まとめ、活動報告会を前期、後期で実施しています。
テーマは「中心市街地活性化」、「文化の継承(おへんろ)」、「文化の継承(玉川)」、「文化の継承(料理)」、「観光(島とサイクリング)」の5つです。
学科コースを超えたグループワークにより、「他学科コースの学生・教員の交流が深まった。」学生は、「この授業をきっかけに人前で自分の意見を言えるようになった。」、「地域の人と交流するためには、自分から積極的に動くことだと学んだ」など主体的な取り組みができるようになりました。
【卒業生の声】 苅田康平さん
現在、今治市内で保育士として勤務しています。
「地域交流実践演習」の授業を受けて、今治のことをより知ることができました。
また、他学科の学生と関わりを持つことができました。仕事の中で子どもとの関わりは大切ですが、保護者や同僚など大人とのコミュニケーションは、この「地域交流実践演習」の授業で、地域の方々との関わりを持つことにより少しずつ身についたように思います。
活動報告会での発表は人前で話すことの訓練になり、今に役立っています。
この授業を通して、在学中に今治について知ることのできる機会を持てたことは、とてもよかったです。
【まとめ】 COCコーディネーター 林 和男
社会構造の変化、特に地方の人口減少の顕在化は東予地区でも同様であるので、少しでも若い人の人数を増やすことが重要であるとの認識があり、若い人が地域に残るまたは戻ってきて活躍していただくことが必要です。各担当者が説明をしたように教員・学生のアンケートによれば、地域を意識する様になったと答えた人が多く、COCの取り組みは大きな成果だと思われます。
しかし、本学は多くの場合専門的な資格を取ることが目的であり、短大に決められた卒業単位数を大幅に超えたカリキュラム編成を行っていることもあり、かなりタイトの中で、地域を意識した講義の新設、または従来の科目のなかに地域を意識させるように内容を取り込むためには、教員や事務局、学生にとってもかなり努力と労力が必要だったと思われる。その意味で関係者の努力を評価したい。
今後も地域をより良く、住みやすく、若い人が元気に活躍できる社会づくりに貢献していきたいと考えています。
今回のシンポジウムには、100名あまり方々にご参加いただきました。ご参加、ご協力いただきました皆様、大変ありがとうございました。
今後も地域に根ざし、地域に貢献できる人材を輩出していきますので、地域の皆様のご支援とご協力をお願い申し上げます。