3月18日(土曜)午前中、本学大講義室で公開講座「お遍路保育が目指すもの ~今治から世界へ~」が開催され、一般市民・本学卒業生(くすのき会)・白鳩保育園関係者ら47名の参加がありました。前半の基調講演は本学の松田文春講師が務め、後半は本学の角田泰啓講師を司会にパネルディスカッションの形態をとなりました。
本学では、伝統的に学外授業の中で四国遍路を取り入れた教育実践を行っております。近年は、今治市大島の〝島四国〟体験を介護福祉コースの学生を中心に実施しているところです。そうした中、令和4年度今治市学生まちづくり活動応援事業の一環で、「めいたん四国の文化研究会」というサークルを結成し、幼児教育学科の学生を中心に昨年夏から活動を展開して参りました。本講座は、その事業成果の報告を兼ねたものとなり、パネラーには白鳩保育園児とともにお遍路体験(歩く・接待)に参加した女子学生2名(橋本百奈・廣岡陽音)と同保育園長の小笠原美智恵先生、そして松田講師が登壇しました。
基調講演 |
まず、基調講演の中で四国遍路の概略を述べ、瀬戸内しまなみ海道の四国玄関口である今治市には、霊場が6か寺もあって、お遍路保育を実践する環境に適しているとの説明がありました。そもそも「お遍路保育」という言葉は松田講師の造語で、地域文化など地域に根差した活動を保育指針に掲げる保育・幼児教育施設にあって、今治でこそ取り組む実践の一つにお遍路体験を提唱するというものでした。
白鳩保育園は、本学最寄りの保育施設であり、本学と保育の人材育成などを目的に連携協定を結んでおります。お遍路体験に先だって、まずは学生たちが園を訪ねてお遍路についての劇やお接待のプレゼントづくりを手伝い、遍路について一緒に考えました(8月23日)。次に、実際に栄福寺から仙遊寺までの約3㎞の遍路道を学生は歩きますが、園児とは仙遊寺山門で合流して本堂まで一緒に歩きました(9月20日)。きつい坂道でしたが、園児は「歩こう、歩こう、わたしは元気♪」と口ずさみ、とても楽しそうでした。つづいて仙遊寺でお接待の体験をし(11月26日)、最後は「おもてなし遍路ウォーク」のイベントに参加して、歩く・お接待の両方を園児たちと体験しました(2月23日)。
パネルディスカッション |
学生の感想は、ふだんの授業の座学と違い、課外活動で地域へ出向いて行う体験は、学びの効果が大きいとのことでした。保育園側も、お接待を通して他人を思いやる心が培え、親御さんと一緒になって歩き遍路をした経験は大きな財産になったとのことでした。また、地域文化を取り入れた保育実践として、お遍路保育は大きな教育効果が見られたようで、今後も続けていきたいとのことでした。
受講した一般市民からは、「いい取り組みで感心した。ぜひ小学生の孫に体験させたいので、こういう機会を設けて欲しい」と、今治市や本学に期待を寄せる声も聞かれました。
全体風景 |
参加者からの質問 |