1月9日(木曜)の「地域交流演習」(大成経凡先生)は、31名の留学生と大三島の大山祇神社へ初詣に出かけました。30名は昨年秋に入学したネパール人たちで、このほど来日して初めて新年を迎えたことになります。大成先生の「日本を学ぶⅡ」では、昨年末の授業で日本の年末年始の行事について学習しましたが、本授業の履修生はその科目をとっていないため、移動中のバスで簡単に初詣の解説を行いました。
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大山祇神社 拝殿前 |
初詣を学ぶ際は、神社が日本の民族宗教の神道に関係している点を理解する必要があります。各神社で〝お神輿ワッショイ!〟の例大祭が毎年催されますが、これは神道の行事であり、日本人は知らず知らずのうちに年中行事の中で神道を信仰しているのです。こどもの健やかな成長を願う七五三についても、神社で行うのであれば神道の行事となります。留学生たちにとって神道を理解しづらいのは、経典がなく、多神教のためです。まつられている神々は山・木・太陽など様々で、目に見えない存在でもあります。大山祇神社の境内には、国指定天然記念物のクスノキの老木がありますが、しめ縄や依り代が飾られていることで、神が宿る御神木であることを知ってもらいました。
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大山祇神社 一の鳥居(宮浦港) |
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大山祇神社 二の鳥居 |
では、大山祇神社にまつられている大山積神(おおやまづみのかみ)はどのような神様なのか。それは山の神(God of the mountains)・農業の神(God of farming)・航海の神(God of Voyage)などの多彩な顔を持ち併せています。全国に1万社余りの末社を有する、今治市で最も規模の大きい神社ということになります。かつて〝日本総鎮守〟〝伊予一宮(式内社)〟〝国幣大社(こくへいたいしゃ)〟などの社格を有し、「三島」「大山積」の名称のつく神社であれば、ほぼ末社とみて差し支えありません。そのため、全国区の知名度を誇ることで、しまなみ海道開通前から芸予諸島随一の観光地として知られていました。
開通前は、高速艇やフェリーを使って大三島へアクセスしていて、宮浦港が境内へつづく参道口の役目を果たしていました。そこで学生たちには、宮浦港の一の鳥居からの参拝をうながし、二の鳥居・斎田(さいでん)・御神木を解説しながら拝殿前に到着し、全員が〝二礼・二拍手・一礼〟を体験しました。律儀にお賽銭(money offering)も奉納し、おみくじも(paper fortune)数名が引きました。そして今年も〝凶〟(bad luck)を引き当てた女子学生がいて、別の意味で歓声があがりました(笑)。
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おみくじ〝凶〟 |
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初詣 参拝 |
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クスノキの御神木 |
帰路は、斜張橋の眺めが美しい「多々羅しまなみ公園」に立ち寄りました(目の前の生口島は広島県尾道市)。A班が同所を訪ねたのは11月28日で、そこまで寒くなかったように思います。この日は、極寒のレベルが半端なく、なかなかバスから降りてこない学生もいたほどです。それでも、海岸に降り立てば絶景をバックに記念撮影に興じ、観光気分にひたっていました。日本へ来てまだ3~4ヶ月余りの留学生ですが、今治の良さを少しずつ知ってもらいたいと思います。