2025年1月28日火曜日

授業紹介 日本を学ぶⅡ 伊予桜井漆器会館を訪ねる

 1月24日(金曜)の「日本を学ぶⅡ」(大成経凡先生)は、39名の履修生(うち38名留学生)を引率して、伊予桜井漆器会館を訪ねました。桜井漆器が今治市の伝統工芸品であることや漆器が高価であること、桜井の地に漆器づくりが始まった歴史背景(椀舟行商)については、前回の授業で学習をしました。今回は、実際に現物を見ることで、その日本的な艶や輝きの美を楽しんでもらうねらいがあり(英単語で漆はjapan)、気に入れば安価な箸を購入する学生がいてもいいなぁという期待がありました(10名弱が購入)。


 箸以外の商品は触らないよう、事前に注意を与えていましたが、店主の鳥井会長・鳥井社長のご厚意で、一部の商品については手に触れることもできました。触れることで良さが分かる商品もあり、時代のニーズに合わせて商品開発を積み重ねている様子も理解できました。ガラスコップに漆を塗った〝花クリスタル〟は、同店の人気商品の一つです。えひめ国体で天皇・皇后両陛下(現、上皇・上皇后両陛下)がご使用になった食器と同じ商品も販売されていました。また、菊間瓦や大島石といった、今治市の他の地場産業とのコラボ商品もあり、漆で塗れるものは何でも塗るという商人気質を感じたしだいです。


手触りを確かめる留学生


説明を行う鳥井社長

大島石と桜井漆器のコラボ商品


前回の授業をしっかり聴いていた学生には、得るものが多かったことでしょう(笑)。この科目の履修生で唯一日本人の曽我部希香さんは、調理ビジネス(調理師)コースに在籍していますが、様々な漆の食器を鑑賞できてとても満足そうでした。曽我部さんは新居浜市出身ですが、桜井漆器の存在は知らなかったようです。桜井漆器は愛媛県人の認知度も低く、鳥井社長は常々「まずは知ってもらうことが大切!」とおっしゃっていて、本学学生の見学を毎回歓迎してくれます。県外観光客がよく来店されるようで、クオリティの高い商品をリーズナブルな価格で購入できることに驚かれるようです。

業態の変化等で、現在、桜井地区で漆器店を営むのは同店などわずかとなりました。全盛期は明治後期から大正期とされ、数百人の職人が桜井にはいましたが、現在は数人といったところでしょうか。漆器づくりは分業制のため、磨く・塗る・描くなどそれぞれの製造工程に職人がいて、問屋が注文をとりまとめ、販売するというスタイルをとってきました。伊予桜井漆器会館は、製造から販売までを一貫して手がける点が桜井においては革新的でした。今治湯ノ浦ICの開通に合わせて、現在地に店舗を移転し、職人の作業工程を見学できるようにした点も、それまでの桜井にはなかった取り組みといえます。攻めの姿勢を持ち続け、時代の変化に順応することで、伝統工芸は守られているのだと改めて感じることができました。

次回は、菊間「かわら館」を訪ね、同じく今治市の伝統工芸である菊間瓦について学びたいと思います。


伊予桜井漆器会館

漆の英単語はjapanです




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