2026年3月10日火曜日

里山校生徒とまちなか歩き(2月21日)

 本学の兄弟校であるFC今治高校里山校(FCI)では、学園寮に住む生徒は3年生進級までに退寮し、住む場所を見つけて自律した生活を送るというきまりがあります。いよいよ1期生がこの4月から3年生を迎えるとあって、新たな拠点へ引っ越すこととなります。すでに退寮し、一人暮らしを始めている生徒もいるようで、空洞化が進む市中市街地もその候補地となってきます。

 里山校の生徒有志らでつくる団体「ノマド ネスト(Nomad Nest)」は、探究活動の一環でゲストハウスを生かした市中心街地の再生に取り組もうとしています。すでに顔なじみの商店街店主もいるようで、親交を深めながら信頼関係を築く姿をたのもしく感じております。そんなノマドのメンバーから、〝まちなかの歴史的な魅力について知りたい〟という相談が大成経凡先生のもとにありました。同じころ、NPO法人シクロツーリズムしまなみ(山本優子代表)からも、「せとうちみなとマルシェ」のにぎわいに波及効果をもたせるため、三輪自転車タクシー(輪タク)による周遊観光コースの相談がありました。コースとしては、はーばりー発着で商店街を抜け、今治城内堀を周回して内港沿いに戻ってくるというものです(市サイクルシティ推進協議会主催)。大成先生は、ガイドの解説文も監修することになりました。


三輪自転車タクシー(今治城内堀そば)


 2月21日(土)11:00〜15:30は、ノマド・メンバーらの声かけで集まった里山校生ら10名とはーばりー発着のまちあるき(1年前の同日、大成先生はFCI・1期生と今治城で学外授業を実施。ふだん立入禁止の犬走りに潜入している)。翌22日は、大成先生監修の自転車タクシーがみなとマルシェで実証実験(無料。15名乗車)。このタクシーは、次回は3月8日のみなとマルシェで、1日5組限定(無料)で運行予定とのことです。ノマドのまちなか散策では、自転車ガイドのコースと重なる部分もあり、現状のまちなかに残る歴史的魅力を、想像力をたくましくさせながら大いに堪能することとなりました。今治市中心市街地の約8割は、昭和20(1945)年8月の今治空襲で焼失した歴史があります。藤堂高虎が築いた城下町の景観は、今治市の近代都市計画(広小路整備と築港)と戦災復興都市計画で大きく様変わりしているのです。それらを理解しつつ、その変化や残されたもの、人物史などを織り交ぜて解説することがとても重要になってきます。


本町通りと「えびす市」 


 散策コースは以下の通りとなりました。はーばりー→徳冨蘆花歌碑→広小路の由来→今治港築港の由来→中渡島潮流信号所2代目腕木式信号機→美保海岸護岸→寺町(常高寺・円光寺など)→共栄町(白雅・今治ラヂウム温泉など)→本町&今治銀座(えびす市)→金星川(今治城外堀)→辰の口公園→今治城中堀跡→今治城内堀そば→内港→はーばりー。さりげなく見ていたものに、実は深い意味があり、片原町の旧大型フェリー埠頭にある2代目腕木式信号機は、潮流信号機としては日本で最後まで運用されて平成24(2012)年3月に廃止になったものです。サンライズ糸山にある初代については、明治42(1909)年8月から運用開始された日本で最初の潮流腕木式信号機となります。海上交通の要所ゆえ、また、海事遺産を大切に思う市民がいることで、そうした交通遺産が移築保存されていることを知ってもらいました。一同が特に驚いたのは、美保漁港に残された護岸石垣です。漁具の収納庫に隠れて気づきにくいですが、頑強な造りが積み方に見てとれます。これは過去に高潮被害を受けた後、卓越した土木技術者だった服部長七の指導監督で明治20(1887)年頃に築かれたものです。まだセメントが普及しない時代、〝長七たたき〟と称される人造石が護岸工事などに用いられました。後に、沖へ一文字波止を設け、この護岸の外を埋め立てて荷揚場としたことで、護岸の存在は薄れていきました。現在570mほどが残っているようで、平成13・14年度の愛媛県近代化遺産調査事業の際、地元漁師の依頼で調査にかかわった大成先生は、この護岸石垣に特別な思い入れがあるようです。今後は、誇れる近代土木遺産として活用が待たれます。


服部長七の護岸石垣 


そのような感じで、参加者との謎解きをまじえながら、まちなかの魅力散策は続きました。共栄町では、ご高齢の女性が一人で営むパン屋へ潜入。これは予定外でしたが、老舗店の中には、懐かしさを感じさせる、未来へ残したいお店がいくつもあります。ランチを食べた餃子専門店の白雅もその一つで、高校生たちが中心市街地とかかわることで、脚光を浴びる商店が増えてくるように思います。後継者がおらず、店じまいを考えている商店の中には、老舗の味を継承する若者が出現する可能性もあります。大成先生によると、本学で4月に開設される地域未来創生コースでも、市中心市街地再生との関わりを持ちたいとのことでした。


中渡島潮流信号所 2代目腕木式信号機


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