11月12日(火)の「地域社会論」(大成経凡先生)は、今治市玉川町鈍川(にぶかわ)地区にある〝伊予の三湯〟(道後・鈍川・本谷)の一つ・鈍川温泉郷を視察しました。昨年度の「地域活性化論」では、鈍川温泉組合様の協力で4つの温浴施設を見学することができましたが、今年は留学生の履修生が増えて団体行動が難しくなり、車窓から大成先生がバスガイドをすることで現状の把握に努めました。本学から鈍川温泉郷まではバスで20分余りの距離で、市街からも30分ほどで到着します。しかし、施設の老朽化や市街地に新たな形態の温浴施設が増えたことで、客足が遠のいているのが現状です。
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車窓から鈍川温泉郷を視察 |
泉質は低張性アルカリ性冷鉱泉で、pH(ペーハー)数値は全国の名湯に引けをとらず、疲れた身体を癒やすのに最適です。そもそも身近なルーツは、明治初年に今治藩主久松定法が湯治場として整備した「楠窪(くすくぼ)冷泉浴場」にさかのぼります。しかし、旧藩主が廃藩置県で今治を去って荒廃すると、鈍川村有志が図って大正14(1925)年9月18日に再興したのが今日の鈍川温泉なのです。〝美人の湯〟とも称され、道後温泉の湯をしのぐ声価を観光客からよく耳にします。
どうすれば再生できるのか、これまで何度も活性化の協議会やモニターツアーなどが開かれてきましたが、コロナ禍が組合員に大きな打撃を与えました。そうした中、最も規模の大きかった老舗の温泉宿「鈍川温泉ホテル」を上場企業の「ありがとうサービス」が買収することで転機を迎えようとしています。改修ではなく、老朽化した施設を建て替えることで、将来的に大きな反響があるのかも知れません。その解体中の現場を学生たちは車窓から目にすることができました。温泉宿の「美賀登」の辺りでは、従業員と思われる東南アジアの若い女性を見かけました(昨年はミャンマー人の実習生が同所で働いていた)。
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解体中の鈍川温泉ホテル |
温泉宿の「皆楽荘」より少し上流に歩くと、逆アーチ橋の「湯の花橋」があります。ここを見上げる渓谷スポットに学生たちを誘導しました。しかし、紅葉の時期はもう少し先のようで(例年より遅れている)少し残念でしたが、そのことよりも雑木が伸びて景観が損なわれている点が残念でした。現地は奥道後玉川県立自然公園内にありますが、後から生えた雑木については定期的に伐採しないと、渓谷美は台無しです。すぐに取り組める改善点だろうと感じました。
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湯の花橋から鈍川渓谷を観賞 |
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鈍川渓谷を観賞 |
帰路、このほどJ2昇格が決まったFC今治のホームスタジアム「アシックス里山スタジアム」にも立ち寄りました。この日の参加学生36名(うち日本人2名)のうち、秋入学のミャンマー人・中国人20数名はここを訪れるのが初めてでした。今治市民が関心を寄せるFC今治ですが、今治で生活を始めたばかりの留学生にも関心を持って欲しいと願います。
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アシックス里山スタジアム |