2024年11月13日水曜日

市川團十郎今治城歌舞伎公演へゆく(11月7日・8日)

 日本旅行松山支店様からのお誘いで、11月7日・8日に今治城跡で開催された「市川團十郎今治城歌舞伎」公演の鑑賞に参りました。本公演は今治市合併20周年記念イベントや観光庁の「特別体験の提供等によるインバウンド消費の拡大・質向上推進事業 」の構成事業として開催されました。7日は30人(ネパール20・中国5・インドネシア1・ネパール3)、8日は29人(ミャンマー22・中国2・ネパール2・ベトナム1・スリランカ1)が参加し、引率の大成経凡先生をのぞく全員が留学生でした。


公演会場の様子

 公演に先立ち、今治市教育委員会・今治市観光課様のご配慮で留学生全員が今治城天守の最上階から夜景を鑑賞させていただきました。参加した留学生の多くが登頂は初めてで、夜景鑑賞にいたっては全員が初めての経験でした。7日は来島海峡大橋がライトアップし、両日ともに夕陽がとても幻想的で、急に冷え込んだ寒気の影響があったのかも知れません。ライトアップされた天守や石垣も見応えがあり、築城の名手・藤堂高虎が築いた城郭の魅力を味わうこともできました。公演そのものは撮影NGでしたので、それ以外の添付画像で当日の雰囲気を感じ取っていただけると幸いです。



今治城天守最上階にて

公演時間は18:30から20:00までで、この日のために鉄骨を組んで特設の舞台が設けられました。観客席は各回1,000席あったようで、私たちは舞台に近いS席(12,000円)に座ることができ、とてもラッキーでした。7日は花道のそばということで、市川團十郎・新之助父子の舞踊を間近で堪能することができました(13代目團十郎は、10年前にも今治市大三島の大山祇神社で野外公演を行っている)。8日は花道とは反対方向の席でしたが、舞台床をたたく拍子木の音がよく響きわたりました。強い風と低温に悩まされましたが、参加した留学生・教員の全員が〝世界無形文化遺産〟の歌舞伎を生で鑑賞するのが初めてで、熱気に包まれた会場で日本の伝統芸能の素晴らしさを知ることができました。


俳優陣の舞踊もさることながら、背後に陣取る長唄の演奏家たちも、引き立て役として重要な役割を果たしていると感じたしだいです。三味線・太鼓・笛の和楽器は、留学生たちにとっては〝日本の伝統の音色〟に聞こえたはずです。最初の演目は、牛若丸(源義経)と武蔵坊弁慶の京都五条橋での出会いを題材とする「五条橋」で、大谷廣松が牛若丸を、市川右團次が弁慶を演じました。両者の太刀振る舞いがとても見事でした。休憩を挟んで最後の演目は、市川團十郎父子が演じた「連獅子」(れんじし)で、親獅子が子獅子を谷底に落として鍛え、両者が牡丹に戯れながら紅・白の長い毛を豪快壮烈に打ち振る演技に観客は魅了されました。

千秋楽の本学参加者(ミャンマー人留学生多数)

8代目・新之助君は小学6年生で、舞台挨拶ではとても愛らしさを感じましたが、いざ衣装を身にまとい舞踊を始めると、たのもしく感じたしだいです。「連獅子」は、本当の父子が演じるとあって、芸の修行の厳しさと情愛が重なって観客の心に響いたことでしょう。初日の観客は地元の今治市民が多かったように感じました。千秋楽は着物の方を多く見かけ、拍手や歓声のタイミングから玄人ファンが多いように感じました。市川團十郎家の屋号である〝成田屋!〟の掛け声も聞き取ることができました。一度鑑賞しただけで、すっかり魅せられてファンになる、歌舞伎公演だったように思います。


留学生たちをインバウンドととらえた場合、こうしたクールジャパンの機会に触れることはとても大切で、日本を好きになってもらう近道なのかも知れません。本学は、日本人よりも留学生が多く在籍していますが(日本78・留学生130)、日本文化や今治の地域文化を彼ら彼女らに伝える中で、多文化共生社会の実現に努めて参りたいと思います。今年秋に入学したばかりのミャンマー人・ネパール人・中国人には、入国早々に一流の歌舞伎に触れ、貴重な経験を積むことができました。改めまして、日本旅行様に感謝申し上げます。


初日の本学参加者(ネパール人留学生多数)



このページの先頭へ戻る