2024年11月11日月曜日

授業紹介  地域交流演習  小島砲台をフィールドワーク(10月24日、31日)

10月24日(木)と10月31日(木)の「地域交流演習」(大成経凡先生)は、履修生を2つのグループ(A・B)に分けて、来島海峡に浮かぶ小さな島「小島」(おしま)へ学外授業に参りました。24日のB班は今年秋入学のネパール人31名(ほか2名の教員・通訳)、31日のA班は今年春入学のネパール人18名とミャンマー・中国・日本・ベトナムの混成からなる45名(ほか2名の教員・通訳)の編成となりました。B班については、履修生以外の秋入学のミャンマー人も加わり、大所帯となりました。

チャーター船の船内(A班)


〝海を見たい、船に乗りたい〟という秋入学の留学生の希望を叶えるため、少し無理をした感があります。幸いにも、波止浜港からの渡船は貸切りとし、他の客に気兼ねすることなく片道10分の船旅を学生たちは満喫している様子でした。渡船からは波止浜湾の造船所群を沖から観察することができ、本航路は産業観光の要素も備えています。すでに㈱しまなみの遊覧船が、来島海峡の急流や橋の景観と併せ、この産業観光を推しのスポットに挙げているところです。

小島へ向かうB班のチャーター船(奥が小島)


 本授業では、すっかり秋の鉄板コースになりつつある小島のフィールドワーク。周囲約3㎞、頂上の標高100mの島内には、明治30年代に対日露戦争に備えて陸軍が築いた要塞(ようさい)の遺跡が残されています(砲台跡・発電所跡・弾薬庫跡・観測所跡・探照灯台跡・雁木など)。これを、戦争遺跡という負の歴史でとらえるのではなく、明治期の建築技術の学習や要塞廃止後に公園として整備した地域活性化(観光)の観点からとらえる必要があります。留学生が多いことで、時代背景や軍事思想の詳細をガイドできない大成先生はもどかしかったようですが、小島が今治市にとって貴重な観光資源であることを認識できたなら、渡船をチャーターした甲斐もあったことでしょう。

波止浜湾(A班)

 現在の島民は10名ほどのようで、島内の耕作地は放棄されて〝荒れ放題〟となっています。そこへ島外から渡来したイノシシが繁殖し、遊歩道は歩行しづらいほどに土砂が散乱・堆積する有様です。遊歩道沿いに植えられたツバキの根がむき出しになるほど、環境の悪化はここ数年深刻です。しまなみ海道開通後に脚光を浴び、〝海上の城・ラピュタ〟と称されるなど、保存整備も行き届いて海道有数の推しのスポットと自負していたのですが…。一方、ほぼ同時期に芸予要塞として築造された大久野島(広島県竹原市)は、SNSが普及する中で〝毒ガスの島〟から〝ウサギの島〟へ変貌を遂げ、すっかりインバウンドで賑わう観光の島となりました。

中部堡塁(A班)


 参加した学生全員が小島は初上陸とあって、〝イノシシの島〟への変貌に驚くことはありませんでした。不思議な場所を訪ね、頂上からの眺めが抜群に良かったと感じたはずです。頂上の観測所跡は敵艦の位置を捕捉するだけあって、360度パノラマの眺望が来頂者を喜ばせます。下草が刈られていれば、寝そべるなどして、さらにリラックスできたことでしょう。島滞在時間は1時間半しかなく、頂上で10分楽しんだ後は、来た道を急いで下りました。渡船が到着するまでの間、学生たちは桟橋から来島海峡第3大橋を眺め、撮影に興じていました。大成先生曰く、令和8年度入試から採用される新コース「地域未来創生コース」(準備中)では、小島の魅力と課題を徹底的に検証するとのことです。



頂上でくつろぐ留学生(A班)

頂上の観測所跡(A班)


発電所跡(B班のネパール人留学生)


2024年11月6日水曜日

めいたん学生祭2024を終えて

10月26日(土曜)10:00~16:00、めいたん学生祭2024が開催されました。早朝に雨が降っていて客足が心配されましたが、開始の頃には雨も上がり、約1,000名の来場者を迎えて無事に終えることができました。本学の学生祭の特長は、学生が全員参加して、準備から後片付けまで何かしらの役割を担っていることです。現在210名の学生が在籍し、それぞれが各学科・コースの模擬店やイベント会場にスタンバイし、学生祭を盛り上げようという熱意が感じられました。

昨年の反省点を生かし、模擬店の食材が尽きないよう工夫が見られました。333教室では、中国・ミャンマー・スリランカ・ネパールのブースが設けられ、民族衣装を身にまとった留学生たちがお菓子やお茶を接待しながら自国の文化を紹介していました。昨年よりも留学生の数が増えたことで、同教室はとても活気があったように思います。留学生どうしの交流もみられ、親交を深めることができたようです。同窓会のくすのき会も、バザーや占いコーナーなどを催し、陰ながら支えてくださいました。自衛隊や一般マルシェの方々も、出展・出店を賜り、本当にありがとうございました。


ミャンマーのブース(333教室)

国際観光ビジネスコースの模擬店

調理ビジネスコースの模擬店

入試広報委員会では、例年とは違う形で学生祭オープンキャンパス(OC)を実施しました。その名も〝めいたんウルトラクイズ〟。本学にちなんだ出題を〇✕クイズで実施し、勝ち抜いた方が早押しクイズの決勝戦へ進み、豪華景品をゲットするというものです。一般の方々にも参加をうながし、決勝戦は5席をご用意し、高校生3席・一般2席で競ってもらうことにしました。決勝戦は、本学の大成経凡先生から今治市ご当地検定〝いまばり博士〟にちなんだ出題がありました。例えば〇✕クイズの一例。本学の留学生で、一番多い国はネパールである(正解は〇)。決勝クイズの一例。日本食研のオリジナルキャラクターの牛の名前は?(正解はバンコ)。決勝戦は骨のある問題が多く、5席の方が答えられない場合は、フロアの一般の方に回答をうながし、正解すれば〝みやざきタオル協賛のタオルマフラー〟をプレゼントしました。途中、南海放送ラジオのキャピー宇都宮さんが生中継に入り、会場は大いに盛り上がりました。今回の反響を受けて、来年3月23日開催のOCでも、秘かに〝めいたんウルトラクイズ〟実施できないものか画策中です。


キャンパスツアー(介護福祉コース模擬店)


めいたんウルトラクイズ

学生祭のトリは、大講義室に全学生と一般来場者が集まっての〝ビンゴゲーム〟です。こちらも豪華景品(3万円金券)をお目当てに、場内には歓声とため息がこだましました。秋入学の留学生も雰囲気にとけ込んで楽しんでいました。ふだんとは違う学生たちの表情が見てとれて、教職員もリラックスした様子でした。この経験を糧に、学生・教職員一つになって「めいたん」のアイデンティティーを高めていきましょう。


ビンゴ大会(大講義室)


2024年11月5日火曜日

大学公開講座 「南海トラフ地震臨時情報について」(10月30日)

10月30日(水)午後、今治市防災危機管理課の玉井栄次参事補をお招きし、公開講座「南海トラフ地震 臨時情報について-臨時情報の発表と備え-」を開催しましたところ、一般市民11名を含む51名の参加がありました。介護福祉コース1・2年生と幼児教育学科1年生は授業の一環で受講し、災害時に介護福祉士・保育士等に求められる心得を学ぶことができたように思います。

公開講座の様子

 例年、玉井氏からはタイムリーなテーマでご講演いただく中、今回はこの夏話題となった〝南海トラフ地震臨時情報〟についての解説がありました。多くの国民がその発表に戸惑い、お盆時期の南海トラフ地域への旅行をキャンセルするなど、混乱を招きました。発表された注意喚起は、平時に比べて巨大地震の可能性が少し高まったとするもので、すぐに巨大地震が起きるというものではありません。いつ起きてもいいように、災害の備えに万全を期すよう国民へ注意を呼びかけるもので、そのガイドラインは平成31(2019)年につくられたものでした。初めての発令だったため、国民は戸惑うしかなく、ホームセンターの防災グッズが一時的に品薄になったりもしました。1週間たって、注意が解除されて平静を取り戻しましたが、改めて南海トラフ地震への備えを当該地域の住民は強く意識したことでしょう。


講演する玉井氏


 南海トラフ地震で想定される震度7の揺れについては、平成23(2011)年3月11日発生の東日本大震災の映像を視聴することで理解できました。東北各地の都市の様子が次々と映し出され、恐怖におびえる住民の姿がとても印象に残りました。今治市に住む私たちも〝もしも〟の場合に備えた心構えとして、被害想定や臨時情報への対応を理解しておく大切さを学んだような気がします。今治市では、昭和56(1981)年5月以前の木造建築物には、耐震診断や耐震改修などで補助を得られる助成制度があるようです。また、今治市ホームページ上にある今治市防災情報ポータルをご紹介いただき、災害時に「どの地区に避難情報が出されているか」「どの避難場所が開設されるのか」を知る手がかりを知ることができました。広域的な気象情報として、「あなたの街の防災情報」(気象庁キクテル)もご紹介いただきました。


防災グッズを手に取るインドネシア人留学生

 印象に残った身近な備えとして、自家用車のガソリンは、いつも満タンにしておくくらいの心構えが必要ということでした。動かなければただの箱ですが、エンジンがかかることで移動・車中泊・スマホの充電などに役立つのです。家族どうしで話し合って、緊急時はどこへ避難するかなどの情報共有も大切になってきます。スマホがつながらない、使えないという事態も想定しておくことが大切です。


 講演終了後は、陳列した防災食や防災グッズ、仮設テントや簡易トイレなどを参加者は見学しました。FMラヂオバリバリの取材に応える学生もいて、その模様は同局の防災番組で後日放送されるようです。また今治CATVでも、講演の様子を後日放送予定です。


ラヂオの取材を受ける学生

2024年10月26日土曜日

公開講座 長野ヒデ子先生をお迎えして(10月21日)

 10月21日(月)、今治市拝志出身の絵本作家&紙芝居作家の長野ヒデ子先生をお迎えし、大学公開講座を開催したところ、本学幼児教育学科生を含む50名余りの参加がありました。長野先生は、この前日にも大三島美術館でご本人の原画展(~11/10)に合わせたご講演を行っていて、集まったファンを前に83歳とは思えないエネルギッシュなトークをご披露されたようです。先生は、児童文化功労賞を今年受賞するなど、その業界を代表する作家として著名です。NHK人形劇「ひょっこりひょうたん島」の脚本家・井上ひさし氏(故人)とも親交があったようで、ひさし氏から「全国にたくさんのひょうたん島があるけど、実はあのモデルは東北にある島のことなんだ」と打ち明けられたそうです。つまりは、今治市大三島沖にある県境の島の瓢箪島ではないとのことでした。そうした著名人とのエピソードは、世間話や講演の中でさりげなく登場してくるため、その記憶力や人脈に驚かされます。

紙芝居を演じる長野先生


 この日の演題は「絵本と紙芝居の不思議な魅力!」ということで、両方の作家の立場から違いや魅力について語っていただきました。〝絵本が読むのに対して、紙芝居は演じる〟という言葉が心に残りました。絵本は紙面に文が記されるが、紙芝居は裏に文が記されている。紙芝居はめくる際にワクワク×ドキドキ感をともなうため、描き方が違ってくるという点を『アラジンとまほうのランプ』の作品を実演しながら解説くださいました。紙芝居には、それに適応した「舞台」と呼ばれる装置が必要となり、紙芝居そのものが日本独自の児童文化とのことでした。テレビやSNSの映像が普及した今日でも、目の前の子供たちを虜にする魅力を紙芝居は持っていて、国際的な評価も高まっているとのことでした。

本学幼児教育学科の学生の多くは、卒業後に保育士・幼稚園教諭として保育の現場で働くことになります。その際に、絵本の読み聞かせや紙芝居に触れる機会が多くあるかと思いますが、作家自らが作品に込めた思いを語る機会に巡り会うことはあまりないでしょう。この日は、長野先生の代表作である『おかあさんがおかあさんになった日』の朗読や人気シリーズ〝せとうちたいこさん〟の作品紹介などもありました。また、昭和20(1945)年8月6日未明の今治空襲の体験を通じて、平和を訴える作品づくりや活動などにも取り組んでいるとのことでした。最後は、新美南吉の詩をもとに長野先生が絵を担当した『てんごく』を朗読。表紙絵は、今治タオルをイメージして描いたようです。


公開講座の様子

2時間の公開講座は途中休憩なしで、長野先生はずっと立ったままでお話をされました。当初の打ち合わせでは「無理をなさらず1時間で…」とのことでしたが、まだ話し足りない様子でした。講演終了後は記念撮影をへてサイン会となり、受講された方々との会話を楽しんでいました。サインいただいたご著書につきましては、「めいたん学生祭2024」高校生ウルトラクイズの景品にしたいと思います。


サイン会の様子



本学学生と記念撮影(前列中央/長野先生)


 


2024年10月25日金曜日

国際交流運動会in今治に参加

 FC今治高校里山校のお誘いもあって、10月20日(日)午後、同校1年生有志とえひめインターナショナルMeet-up(谷村一成代表)主催の「国際交流運動会in今治」(今治市中央体育館格技室)にミャンマー人留学生6名が参加しました(大成経凡先生引率)。

6名(女子4・男子2)は、今年の秋に初めて日本へ入国したばかりの学生で、10月から後期授業がスタートし、日本の生活習慣のもと今治市での生活に馴染もうと努めているところです。現在、本学には約130名の留学生が在籍し、国別ではネパール64名・中国35名・ミャンマー22名・インドネシア6名・ベトナム4名・スリランカ1名となっていて、日本人よりも数が多くなっております。今年の秋だけでも50名余りの入学がありました。

入学後は日本語能力の修得に努めつつ、多くの留学生が国際観光ビジネスコースに在籍することから、コースセミナーで観光地視察の現地研修などを行って参ります。また、共通教育科目「地域社会論」「地域交流演習」「日本を学ぶⅡ」などで、まずは身近な地域の歴史文化や観光資源に触れながら、グローカル(グローバル×ローカル)な視座を培っているところです。最初はどうしても同じ出身国の学生どうしで行動し、母国語に頼りがちですが、今後の日本での将来設計を考えた場合、異国の友人をつくり、横のつながりや情報交換など、本学だけの枠にとらわれない人脈づくりも大切になってきます。

まさに、そうした外国人が日本での暮らしを満足度の高いものにしていくために、そのサポートを愛媛県で行っているのがMeet-upで、同じような課題意識をもつ里山校生徒有志がこれに共感し、今回の運動会の開催にいたりました。当日は、ベトナム人・韓国人・中国人・台湾人・インドネシア人の参加もあり、半数は社会人として働いている若者たちでした。里山校の生徒がこれに加わり、若さあふれる屋内運動会となりました。ラヂオ体操・ジェスチャーリレーなどから始まって、5人1組の混成チームを5つ作り、二人三脚やスプーンリレーなどの対抗戦で大いに盛り上がりました。チームの絆が深まるなか、一緒に写真を撮り、ライン交換をする光景なども見られました。

参加した留学生に訊くと、とても楽しかったようで、参加して良かったとのことでした。今年の秋入学の学生の多くは、日本語能力などの問題もあって、まだアルバイトに就けておりません。運動会の出会いで、日本での新生活が実りあるものになっていくことに期待いたします。


スプーンリレー


二人三脚


本学ミャンマー人留学生

参加者全員で記念撮影

2024年10月23日水曜日

今治西高校での探究授業(10月17日)

 10月17日午後、今治西高等学校で同校2年生の総合的な探究の時間「ZEST」の中間発表会があり、グローカル分野の指導助言で本学地域連携センター長の大成経凡先生が出張しました。今回は、5つの班それぞれが春から進めてきた研究テーマについてプレゼンをしました。持ち時間は10分でしたが、どの班も時間オーバーするほど、研究に費やした苦労がしのばれました。

 各班のテーマは、グローバル×ローカルの観点から以下の通りとなりました。「今治を大島石で地域おこし ~今治から世界へ~」(2名)・「今治を盛り上げよう!~しまなみ海道を通して~」(4名)・「方言から見えるその地の魅力」(4名)・「外国人が暮らしやすい今治にするために」(4名)・「外国人にやさしい今治に」(3名)

 この中から、最優秀の班には、東京で開催されるプレゼン大会への出場権が用意されていました。そのため、参加を希望する3つの班のプレゼンにかけるモチベーションは高かったように思いました。互いの班へ質問する際は、俳句甲子園のようなディベートが展開される場面もあって、まさに熱き戦いでした。青春時代に熱中できるものがあることはとてもうらやましくもあり、まぶしく感じたしだいです。


生徒の発表➀

生徒の発表②

 全員が発表後に審査シートに評価を記入し、質問の後に大成先生が講評を述べました。時間オーバーの要因の一つが、あれもこれもと欲張り過ぎて、データや事例を多く提示したことです。多すぎると、逆に焦点がぼやけてしまいます。精選してテーマにフォーカスし、一貫性をもって動機からまとめへの展開が見られると、聞いている側にはわかりやすく、共感を得ることができます。最終的に、発表は英語で行うことになっているため、今後自ずと精選されていくと思います。

 大成先生が審査のポイントにあげたのは、自分の言葉で自信をもって発表できているのかということです。画面に投影された文をそのまま読み上げるのではなく、かみ砕いて要点をしっかり聞き手に伝えることができているのか。目線が聞き手に対して向いているのか。現地調査に出向いて、聞き取り調査やアンケートを行った班については、大いに褒め称えました。文献調査や行政の統計データももちろん大切ですが、実際に自分の目と耳で当事者に確認をとる作業は、とても原始的なようで想定以上の成果を得ることができます。本学の留学生に聴き取り調査をした班は、商店街のイベントに出向いて市民にもアンケートをとっていました。方言を地域振興や愛郷心の醸成ととらえる班やご当地おにぎりを考案してインバウンド対応を図りたいとする班はとてもユニークな発想で好感がもてました。


講評を述べる大成先生


 次回は、12月11日の英語スピーチによる最終発表会に、大成先生と留学生が出席する予定です。

 


2024年10月22日火曜日

北条高校の「総合研究」で出張講義(10月15日)

 昨年に続き、愛媛県立北条高等学校3年生の「総合研究」の科目で、本学地域連携センター長の大成経凡先生が効果的なプレゼンの仕方について出張講義を行いました。同校は総合学科高校として、従来の普通科・専門学科という枠組みにとらわれない新しい教育観・学力観に立った教育活動を行っており、校内ですれ違う生徒さんからは気持ちのいい挨拶で迎えられとても心地よかったです。

 講義は10月15日午後に同校体育館で行われ、約70名の生徒が受講しました。大成先生のこれまでの実体験をもとに、まずは自身が講演(プレゼン)で大切にしているポイントを解説しました。例えば、テーマの選定にあたっては独創性やオリジナリティを意識すること。この日の受講生の出身地の内訳は、旧松山市43%・旧北条市41%・今治市16%ということをあらかじめ確認し、関心の持てそうな地域の歴史文化を話題に選びました。聴衆の年齢層に気を配ろうとすれば、子ども相手ならやさしい日本語を使い、高齢者相手なら大きな声でゆっくり話すことなどが注意点として求められてきます。カンニングペーパーを棒読みすると、下を向いて話すことから聴衆の表情が見えず、声も聞きとりづらいものになってしまいます。プレゼンは中身も大切ですが、周辺環境に気を配る余裕が求められ、材料集めでは身近な地域に関心を持って欲しいと促しました。


講義の様子

 そしてお手本を示すべく、3つの話題を紹介。➀かつて高縄山は伊予国を道前・道後に二分する重要な山であった ②北条辻にある伊予銀行北条支店前の旧国道は、なぜクランクしている? ③JR伊予北条駅の駅名には〝伊予〟があるのに、柳原駅と粟井駅にはついていないのか? 以上3つの謎解きを解説しながら、ふだん見過ごしがちな地域の歴史文化について関心を深めました。鉄道の話題では、すでに鉄道会社に就職が内定している男子生徒さんとの対話のキャッチボールもあり、伊予鉄大手町駅前の路面電車と郊外電車の線路が直交するダイヤモンドクロスで盛り上がりました。


大正末期に開業したJR伊予北条駅

北条辻のクランク道路の謎?

伊予鉄大手町駅前のダイヤモンドクロス

 50分間の講演は大成先生にとっては短かったようで、終了のチャイムから4~5分超過してしまいましたが、最後は9月29日にオープンしたばかりの新しいJR松山駅の話題にも触れ、「いま、松山駅周辺のまちづくりが大きく変わろうとしています。その変化に対して、自分がどうかかわるのか、どういう思いを抱くのか、関心を持って生活していって欲しい」と伝えて終了となりました。本学では令和8年度入試から、そうした地域の動向と深くかかわる新コース「地域未来創生コース」(仮称)の開設を準備中で、現高校1・2年生をターゲットに学生募集を展開して参りたいと思います。



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