2025年2月3日月曜日

授業紹介 『日本を学ぶ 菊間「かわら館」と藤山健康文化公園へ

 41名の履修生(40名が留学生)を擁する共通教育科目「日本を学ぶⅡ」(大成経凡先生)の授業も、1月28日(火曜)で最終回を迎えました。2コマ連続講義の時間を確保し、今治市菊間町の「かわら館」を訪ねることにしました。本来なら同館に加えて製瓦工場を訪ねたかったのですが、履修生が大所帯の科目になったことで、今年度は断念することになりました。昨年度まで見学していた錦松工房が廃業したことも大きな要因でありますが、そもそも菊間瓦の業者は家内工業の形態をとっているため、大勢で押しかけるとご迷惑となるのです。そうはいいながらも、見学先の交渉は、令和8年度新設の「地域未来創生コース」をにらんで水面下で進めているところです。


菊間「かわら館」

 さて、かわら館では、事前に菊間瓦の大まかな歴史を伝えていたことで、学生たちには自由に見学してもらうことにしました。鬼瓦や飾瓦はアート作品のように感じたことでしょう。ロビーの鬼瓦は、今月放送のサザエさんのオープニング映像にも登場しています。注目して欲しかったのは、菊間瓦の認知度を高めた「皇居御造営瓦」のサンプルです。これは明治中期に献納された皇居屋根瓦と同じもので、全国三産地(菊間・三州・泉州)がご用命を授かり、その一つが菊間でした。もともと、菊間では藩政時代から瓦づくりが盛んでしたが、このプロジェクトを成功させるため互助組合が誕生し、瓦職人たちがワンチームとなって、品質の向上につとめるきっかけにもなりました。


サザエさんのオープニング映像に登場した鬼瓦


皇居御造営瓦のサンプルを見学

 もう一つは被爆瓦です。菊間瓦は、かつて瀬戸内海沿岸で需要が高く、被爆地の広島市でも被災した木造建物の多くに菊間瓦が使用されていました。瓦礫(がれき)の瓦の多くが平和資料館に収蔵されているようですが、その一部をレンタルして同館で常設展示しているのです。瓦の表面が火ぶくれしている点に注目です。これは、菊間瓦が約1,000度で焼成されていることを考えると、それ以上の熱をともなった爆風が市街を襲ったことが想像できます。地味な展示ですが、大成先生は一部の学生たちに力説していました。


被爆瓦を見学

 かわら館の次は、国指定史跡の妙見山古墳がある今治市大西町の藤山健康文化公園を訪ねました。前期の「日本を学ぶⅠ」でも4月に訪ねましたが、一部の学生はそのことを覚えていたようです。しかし、訪ねる時季が違うと周辺の景観も違ってくるため、変化を楽しむことができたように思います。何より、この日は極寒で、展望所になっている古墳には強風が吹きつけるため、早々に退散しました。最終授業ということもあって、芝生の多目的広場や親子広場の遊具で寒さを吹き飛ばしてもらうことにしました。


展望所の妙見山古墳


妙見山古墳からの眺め

遊具で戯れる留学生


 事前に、ミャンマー人とネパール人がサッカー好きとの情報を得ていたことで、大成先生がサッカーボールとカラーコーンを用意したところ、国別対抗のフレンドリーマッチが始まりました。結果は6-3でミャンマーチームの勝利でしたが、まさにタイムアップ後はノーサイドで、国の垣根を越えた親交を微笑ましく感じました。留学生が増えた本学にあって、留学生の満足度を高める授業のあり方もしっかり考えなくてはなりません。その糸口をつかめたような最終授業となりました。


藤山健康文化公園の多目的広場(サッカーなう)

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