11月10日(木)「地域交流演習」「地域社会論」の授業では、15名の学生たちと来島海峡に浮かぶ周囲3㎞の小島(おしま)をフィールドワークしました。小島には現在も約10名の島民が住んでいて、波止浜港から定期船で約10分の距離にあります。波止浜港桟橋からは、「日本最大の海事都市・今治」を象徴する造船所群を目の当たりにすることができました。
小島には、日露戦争(1904~05)直前に陸軍によって築造された芸予要塞(げいよようさい)の戦争遺跡があります。赤煉瓦造・無筋コンクリート造・花崗岩(かこうがん)石造を組み合わせた建造物はとてもレトロで、戦争という負の遺産を感じさせない魅力を感じることができます。保存良好な遺構の背景には、要塞廃止決定後に地元の波止浜町が国・軍から払い下げを受け、公園として整備した先進的取り組みが関係しています。昭和2(1927)年以降に町の公園となり、昭和30(1955)年に今治市編入合併後は市を代表する観光地の一つとなりました。
しまなみ海道開通(1999年)後に、改めて観光地として脚光を浴び、待合所(水洗トイレ)の新設などの整備が図られました。NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」のロケで使用した28㎝榴弾砲(りゅうだんほう)レプリカも、松山市から譲渡を受けて小島港桟橋付近に移設されています。学生たちには〝海上の城ラピュタへ行こう!〟の掛け声で、島内の南部砲台跡・弾薬庫跡・中部砲台跡・観測所跡などを散策する中で、観光資源の活用について考察を深めました。標高100mの頂上・観測所跡からは、360度パノラマで来島海峡を一望することができ、参加した学生のほとんどが初めて訪問する小島の魅力にとりつかれた様子でした。この日の体験は、きっと今治市の魅力をPRする際に役立つことでしょう。
近年、島民の高齢化・人口減少の影響もあって、廃屋や耕作放棄地が目立つようになってきました。その一方で、数を増やしたイノシシによる遊歩道沿いの景観被害には目を覆いたくなります。今後の観光振興に鑑み、何らかの対策を今治市にお願いしたいものです。
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①波止浜港(渡し場) |
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②28㎝榴弾砲レプリカ |
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③赤レンガの弾薬庫跡 |
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④ラピュタのような景観 |
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⑤中部砲台の砲座跡 |
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⑥頂上の観測所跡 |