5月7日午後、今治南高校で出張講義を行いました。同校では1学年185名の「総合的な探究の時間」で、地域理解や課題発見、課題解決のための探究活動に力を入れております。その導入部分の4回連続講義を、〝いまばり博士〟や〝ケイボン先生〟の愛称で知られる本学の大成経凡先生が務めることになりました。
今治南高体育館 |
今回は3回目で、すでに4月23日と4月30日にもそれぞれ50分の講義を行い、5月21日が最終回となります。1回目は、今治南高校の由来を紐解く中で、前身の旧制越智中学校が四阪島製錬所の煙害補償で大正15(1926)年4月に創立した歴史背景を紹介しました。煙害が農作物に大きな被害をもたらしたことで、今治市・越智郡の自治体は住友側に対して農業学校の設置を求めたようです。今治南高校に園芸クリエイト科(旧農業科)があるのはそうした理由からです。その1期生の赤穂義夫氏(故人)が、同校同窓会「越南会」の会長を長く務め、広小路の植樹や唐子浜の赤灯台の移築保存などで地域振興に大きな足跡を残したことも紹介させていただきました。
四阪島製錬所(絵葉書より) |
赤穂義夫氏(中央) |
2回目は、より身近な話題を取り上げようと、今治市内の食品メーカである日本食研や伯方塩業の話題を取り上げました。日本食研ホールディングスのCEOである大沢一彦氏は、同校の卒業生でもあり、今治の教育振興にも尽力して今治市名誉市民となっております。他にも、ご当地ラーメンの今治ラーメン誕生秘話や今治のゆるキャラ「バリィさん」と鉄板焼鳥との関係、今治地方で「タモリ」と呼ばれるセトダイ(ムクダイ)のことなど、食文化の情報提供をさせていただきました。
3回目は、高品質の今治タオルを下支えする染色工業のお話。現在の越南会の山本敏明会長は西染工の代表取締役でもあり、吸収性の高い今治タオルを染色業の分野で下支えしているキーマンです。同社が考案した〝今治のホコリ〟という商品は、これまで廃棄処分となっていた乾燥機からでる綿ボコリをキャンプ用の着火剤に変えたことで大きな話題となりました。山本氏を理事長とする愛媛県繊維染色工業組合では、染色業界の知名度向上をはかろうと、イマバリカラーショーという催しも行っており、今治タオル業界の裾野の広さに気づかせてくれます。今治タオル以外では、5月から始まった今治地方祭の獅子舞芸能(継ぎ獅子)や、有名な年中行事で知られる「お供馬の走り込み」や大山祇神社の「一人角力」などの魅力について紹介しました。
イマバリカラーショー2019(今治市公会堂) |
最終回は〝日本最大の海事都市〟や〝サイクリストの聖地〟について話題提供し、生徒への質問時間も設けてテーマ探しの助けになればと考えております。