前週の授業で、瀬戸内海の風土(気候や地質)について学習しました。その中で、その原風景である〝白砂青松〟(はくしゃせいしょう)を話題にあげ、今でも市内に残された「唐子浜」(からこはま)と「志島ヶ原」(ししまがはら)を訪ねることになりました。
ともに今治市南東部の桜井地域に所在する、燧灘(ひうちなだ)に面した風光明媚な海浜です。かつて、唐子浜には唐子浜パークがあり、県内では松山市の梅津寺パークと並ぶ、遊園地を備えた海水浴場として賑わいました。ともに時代の流れで遊園地を廃業し、唐子浜パークの跡地は更地となっております。夏季は、今日でも海水浴の利用客は見られますが、BBQや釣りの利用目的の方が多いように見受けられます。
唐子浜を散策 |
当日は、唐子浜の松林を通り抜け、すぐ沖の「唐子浜の赤灯台」が見える「唐子浜海の子の家」まで歩きました。まだ唐子浜が賑わっていた頃、そのテコ入れとして来島海峡で不用となった灯台と灯台職員の官舎が、ここ唐子浜へ移築保存されました。かつて、赤灯台はコノ瀬暗礁にあった灯標で、海の子の家は大浜灯台の官舎でした。ともに明治35(1906)年4月竣工の歴史的価値のある建物でしたので、有志の働きかけで昭和50年代にこちらへ移設されたのです。海中にあった明治期の灯台が、海中に移築保存された事例としては国内唯一です。一般には、四国村(香川県高松市)や明治村(愛知県犬山市)などの民家博物館のような場所に移設されて、文化財保護と観光振興を兼ねたケースが見受けられます。
昭和30年代の桜井名勝絵葉書 |
一方、志島ヶ原は、33,000坪にアカマツ・クロマツ約2,500本と紅白の梅500本のある国指定名勝の景勝地です。その敷地の大部分は綱敷天満神社の境内にもなっていて、学生たちは境内を縦断して海岸まで散策しました。途中、社殿の前の絵馬掛けで足を止まりました。合格祈願の絵馬が多く掲げられていたので、この神社が〝学問の神様〟として名高い菅原道真を祭神として祀っていることを解説。過去に祈願で訪れた新居浜市在住の学生が、そのいわれを知って納得の表情でした。
志島ヶ原を散策 |
綱敷天満神社の絵馬掛け |
少し小雨が降り始めたので、バスに乗り込み帰ろうとしましたが、後期授業の下見を兼ねて10分ほど和菓子屋「一福百果清光堂」を訪ねました。希望者のみの見学を呼びかけたところ、参加した18名の学生のうち9名がこれに応じました。学外授業では、何かを得ようとする姿勢がとても大事で、移動中のバスの車窓から見える景色も学びであります。次週は、水軍レース大会の練習と櫓漕(ろこ)ぎ体験で、大島の宮窪港へ参りたいと思います。
一福百果清光堂 |