10月27日午後、「地域交流演習」「地域社会論」の学外授業で来島海峡に浮かぶ小さな有人島の小島(おしま)へ行きました。秋入学の留学生が週ごとで増えており、この日は学生42名が参加し、引率教員を含めると47名の大所帯で移動バスは満員御礼となりました。小島には、波止浜港から定期船でアクセスすることが可能ですが、授業時間に合わせてチャーター船を手配することになり、学生たちは伸び伸びと片道10分の船旅を満喫することができました。満喫?と疑問に感じるかも知れませんが、参加した33名の留学生のうち、10名のネパール人の母国には海がなく、日常生活の中で船に乗る機会はありません。19名の中国人留学生も、海のない省出身の学生が意外に多くいるのです。潮風に吹かれながら、船上から見る多島美や波止浜湾の造船所群の光景は、ここだけにしかない景観として心に残ったことでしょう。
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小島へ向かうチャーター船(左が来島、右が小島) |
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波止浜港と造船所群 |
小島は周囲3㎞の大きさで、今も10名ほどの住民がいます。観光客の多くは釣り人ですが、私たちのように〝芸予要塞〟(げいようさい)や〝小島砲台〟と呼ばれる戦争遺跡の見学を目的に訪問する観光客もいます。造られたのは明治30年代の日露戦争(1904~1905)前で、ロシア・バルチック艦隊の瀬戸内海侵入を阻止するのが目的でした。大型の戦艦が隊列を組んでしまなみ海道がある芸予海域を抜けようものなら、航路は来島海峡と布刈(めかり)瀬戸に限定されます。敵艦は豊後水道を北上することを想定していますが、佐田岬と佐賀関の間の速吸(はやすい)瀬戸には要塞が設置されませんでした。これは当時の大砲飛距離が最大10㎞であることから、そこに設置しても命中率が下がるため、確実に敵艦を殲滅(せんめつ)できる小島・大久野島(現、竹原市)に芸予要塞の設置許可が下りました。
小島に現存する要塞遺構の中で、学生たちは護岸石垣と雁木(がんぎ)・火力発電所跡・弾薬庫跡・中部堡塁(砲座)跡・頂上観測所跡などを大成経凡先生のガイドに従って見学しました。また、NHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」で使用された28㎝榴弾砲のレプリカもあり、1発の砲弾が約217㎏であることを知って驚いた様子でした。さらに頂上の眺めは抜群で、しばし記念撮影に興じるなど、楽しく学びながら今治市を代表する観光名所の魅力にひたっていました。
この日の模様は、学外授業に同行した愛媛新聞記者によって、10月31日付の紙面に掲載されました。
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28㎝榴弾砲の砲座跡(中部堡塁) |
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28㎝榴弾砲レプリカ |
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煉瓦造の火力発電所跡 |
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記念撮影するネパール人留学生(観測所跡) |
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雁木そばで黄昏れる中国人留学生 |