ゲスト講師の山本優子さん |
昨年度の本授業では、実際に今治市のサイクリングターミナル「サンライズ糸山」でクロスバイクをレンタルして、来島海峡大橋を渡って馬島の宿泊施設「グランルークしまなみ」までサイクリングをしました。今年度は、レンタル料金が値上がりしたことや履修生が増えたことなどを理由に、サイクリングを断念。実際、自転車走行に不慣れな留学生もいるため、まずは「しまなみ海道とは何ぞや?」や「どうして、しまなみ海道は〝サイクリストの聖地〟と呼ばれるようになったのか」など、基本的な情報を学生たちには知ってもらうことにしました。
航路をまたぐ橋を自転車で渡れるということは、とても爽快な気分にひたることができます。また、自転車だと、車が入り込めない路地や農道など、瀬戸内海の島ならではの特別な場所にアクセスすることもできるのです。しかし、今治市街から尾道市街までの自転車道は約70㎞もあり、途中で水分補給やパンク修理、あるいは観光情報を求める場所が必要となってきます。そこで、山本さんたちが中心となって、その不安や要望に応える「ポタリングツアー」や休憩所「サイクルオアシス」の整備、サイクリスト向け観光ガイドマップの作製などを行ってきました。JR今治駅前にある宿泊施設「シクロの家」は、山本さんたちが拠点とするサイクリスト専用のゲストハウスであります。
ポタリングツアーは、県外の修学旅行生がよく利用するようで、アテンドしながらしまなみ海道の良さをPRしています。サイクルオアシスは、沿線の飲食店やガソリンスタンド、お寺などが受け入れ先となって、サイクリストとの交流が図られています。自転車を輪行袋に入れず、JR予讃線の鉄道車両に乗せることができるのも、国内では異例の取り組みで、山本さんたちの活動でサイクリング文化の裾野が広がったことが背景にあります。こうしたことから、しまなみ海道は、令和元(2019)年に政府から日本を代表する自転車道としてナショナルサイクルルートに指定されました。
この日、41名の学生が受講しましたが、自転車文化の普及していない地域の留学生もいて、しまなみ海道のサイクリング文化を知る良い機会になったことでしょう。来年度は、授業でサイクリングができるよう事業計画を練り直したいと思います。
シクロツーリズムが目指すもの |
ユニークな自転車 |
授業の様子 |