12月1日(木)午後の「地域交流演習」「地域社会論」の授業では、16名の学生・教職員が参加し、愛媛県繊維染色工業組合の仲介で西染工株式会社(山本敏明社長)の染色工場を視察しました。
同組合では、2017年以降、染色業界の知名度向上も兼ねて「IMABARI Color Show」の催しを毎年実施しており、この秋には今治商店街を舞台に新しい染色の形を表現し、話題となりました。本授業では、地域のイベントや祭礼、博物館の企画展見学の感想をレポートに課しておりますが、実際にこれを見学した学生も数名いて、染色業界に対する見方にも変化があったようです。
今治タオルの魅力を語る際、肌触りや吸水性など高品質のタオル地に関心が向きがちですが、これを下支えする染色会社の何工程にも渡る作業内容についてはあまり知られておりません。〝先晒し先染め〟という工程は、糸を生地に織り上げた後に染めるのではなく、糸を晒(さら)して染めるという今治方式のやり方です。こうすることで、原糸の不純物を取り除き、綿本来の柔らかさや白さを引き出すことができます。晒し終わった糸は、釜で指定の色に染められますが、機械化された今日でも職人技が必要とされるのです。
当日は、原糸を巻き替えるソフト巻の工程や糸の不純物を取り除く精錬漂白の工程などを見学することができました。乾燥機に付着したホコリも公開され、それが同社の新商品「今治のホコリ」に利活用されることを後で詳しく知ることになります。同商品は、キャンプ用の着火剤として注目を浴び、今年度のグッドデザイン賞を受賞しました。また、〝染められるものは何でも染める〟という強い信念のもと、これまで同社は経営を進めてきましたが、近年は時流の変化に対応し〝地球環境にやさしい〟をコンセプトにオリジナルブランドを立ち上げ、製織機を導入してタオル製造も行っています。そうした社風が社員にも浸透し、自由にアイデアを出し合える職場の雰囲気を感じることもできました。
ソフト巻の工程 |
精錬漂白された糸と釜 |
今治のホコリ |
学生の質問に答える山本社長 |