12月15日(木)午後の「地域交流演習」「地域社会論」の授業では、〝愛媛の魚の革命児〟として、新しい漁業のかたちを提案する今治市宮窪町の漁師・藤本純一氏(1982年生まれ)をゲスト講師にお招きし、漁業の現状や氏の取り組みについて発表いただきました。氏は、「自分ほど魚のことを知っていて、自ら獲った魚を高値で取り引きできる漁師はいない!」と自称するほど、全国各地の魚の事情に精通し、氏の魚介類を取り扱う飲食店からは高い評価を受けています。フランス発祥の世界的なレストランガイド『ゴ・エ・ミヨ』(2021年版)でテロワール賞を受賞するなど、いまその業界で話題の人です。学生15名・教職員5名が本授業を受講することになりました。
前半の「地域交流演習」(14:30~16:00)の中では、大阪観光局が世界の観光客向けに制作した動画を鑑賞し、藤本氏が自ら獲った魚介類を神経〆して出荷する様子や、それを扱う大阪・神戸の超名店シェフのコメントが流れました。これをもとに、学生たちからは様々な質問が投げかけられましたが、自信とその経験に裏打ちされた返答はとても斬新で、学生たちには刺激的だったようです。
藤本さんのスピーチ |
後半の「地域社会論」(16:10~17:40)は場所を調理実習室に移し、実際に藤本氏がこの授業のために獲ったマダイ(1.6㎏)を刺身として調理することになります。ここでご登壇いただいたのが、氏の魚介類を扱う伯方島北浦のすし屋「あか吉」の大将・赤瀬淳治氏(1975年生まれ)です。あか吉は、今治を代表するミシュラン星の料理店で、何とも贅沢な講師陣となりました。そしてタイ以外に、宮窪瀬戸で獲れたタコも刺身用に調理されることとなり、学生がタイのウロコとりやタコのヌメリとりを実演する機会もありました。赤瀬氏がタイをさばくなか、藤本氏は学生たちからの質問に気さくに答えていました。
タコをゆでる藤本さん夫妻 |
赤瀬さんの技に熱視線 |
赤瀬さん(左)と藤本さん(右) |
試食では、タイの刺身以外に、タコ頭部のお造り、ボイルしたタコ胴体・脚の刺身、タイのあらで出汁をとったお吸い物(うしお汁)をいただくことになります。タコが苦手な学生も〝美味しい!〟と笑みを浮かべ、吸い物も臭みがありません。舌の肥えた教職員もこれには感激で、魚料理がトラウマだった学生も魔法にかけられたような表情となりました。まさに、一流の漁師(食材)と一流シェフのコラボを目の当たりにすることができ、両氏とのコミュニケーションも学生たちにとっては貴重な経験となりました。